正義・悪・陰謀・暴力がごちゃまぜになった現実のような世界を舞台に、日々の警官業務をこなすアクションアドベンチャー「BeatCop」

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エンターテインメント作品の中でも、勝利を気持ちよく描くことを目指している作品は、善と悪とを明確に描く

誰が正義か、誰が悪かがよくわかるし、正義側が「何をすべきか」も明確。

これは当たり前の話で、実は正義側が裏で悪と手を結んでいた…なんて設定があったら、正義側の勝利を気持ちよく感じることができなくなってしまう

善と悪とを完全に割り切ることができない、そもそも何をすれば状況が改善するかもわからない、それでも生きていかなきゃいけない…そんなオレ達の生きる現実そのまんま…みたいな作品は、深いテーマを追求することを目指した作品に任せておけばいいのだ。

ただ、ホラーやバイオレンスを志向する作品には、あえてこういう深いテーマっていうのを選ぶ作品がある。その方が後味が悪くなってホラー性が表現できるからだ。

今日紹介する「Beat Cop」もそんな作品だ。

ココがWuah!「Beat Cop」の怖さは、汚職と陰謀と暴力渦巻く現実臭さ

「Beat Cop」は、80年代アメリカの刑事ドラマの再現を目指したアクションアドベンチャー。

ドット絵で描かれたビジュアル、BGM、設定、どれをとっても80年代レトロな雰囲気に溢れている。

主人公は、上院議員の家で起きたダイヤ強奪事件に巻き込まれてしまった刑事。

彼は強奪事件への関与を疑われ、警察官へ降格されてしまう。

プレイヤーは主人公を操作し、ダイヤ強奪事件と、その裏に潜む上院議員の陰謀について追うことになる。

とはいえ、主人公の立場は警察官

日々できることは駐車禁止を取り締まったり、タイヤの整備不良を見つけたり、逃げる泥棒を現行犯逮捕したりといったことくらい。

こんな中で暴力的なことが発生するのか?…というと、これが発生するのだ。

ストリートには、黒人のギャング、イタリア系のマフィアなどが幅を利かせており、一触即発という状況。

犯人不明、被害者身元不明という殺人事件だって発生する。

さらには警察署内だろうと街だろうと差別用語や罵声が飛び交う状況。

だから、たとえ位置警察官であっても、そこここに暴力や陰謀の影がちらついているのだ。

ここまで書いて、正義感熱いタイプの人間を主人公として想像しているかもしれない。

だが違う。

主人公は養育費の支払いに追われており、きちんと支払うためには警察官としての給料じゃ足りない。

だから、主人公も犯罪を見逃す代わりにお金を得るといった汚職に手を染めることになるのだ。

この街に、エンターテインメント的な意味での正義はないと思っていいだろう。

ただ逆に、現実的な意味での正義は存在している。

つまり、「自分なりの正義」というやつだ。

市民には市民の、ギャングにはギャングの、マフィアにはマフィアの、殺人犯には殺人犯の正義が、それぞれある。

タップで移動!ダブルタップでダッシュ!スケジュールをこなすために急げ

ゲームとしてプレイヤーがやることは、警察官として課せられるノルマの達成。

つまり、交通違反の切符を切ったり、窃盗犯を逮捕したり…といったこと。

移動は、マップ上をタップすることで可能。二回タップするとダッシュになる。

接触したオブジェクトによってコマンドが表示されるので、切符を切ったり、車をレッカーで運んだり解いたアクションはコマンド選択で実行できる。

窃盗犯の対応については、画面下の手錠アイコンをタップだ。

ノルマの他に、割込み的に依頼が発生するので、どんな要件であっても基本的に急いで実行した方がイイ。

この、時間と争いながら行動するというゲーム性は、本作の配信会社である11 bit studiosの別作品「This War of Mine」と、少し似ている。

「我々の現実に近い世界観」という点も、イメージが似通っているように思う。

しかし、2つのゲームを開発しているのは別会社なので、この類似は偶然なのだろう。

ただ、「This War of Mine」が気に入ったなら、本作をプレイしても気に入るんじゃないかと思うぜ。

ゲーム内にシビアな現実が待っているからな。

基本情報

タイトル

Beat Cop

デベロッパー

Pixel Crow

配信会社

11 bit studios

対応ハード

PC/iOS/Android

価格

Steam

1,480円

iOS

600円

Android

無料(ゲーム内の「3日目」以降のステージをプレイするためには要課金:430円)

【BeatCop】【バイオレンス】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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