第十夜宵闇編-狼と過ごす夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第七章・夜はまだ明けない
4人の登場人物の中でにいる、ウソつきは誰か?
ボクは、このウソつきが見つかれば、全体の構図が一気に変わる。まったく別のものが見えるハズ…と言ったよね。これがヒントさ。
4人の証言そのものよりも、この話を大上 天道(おおかみ てんどう)が持ってきたということに注目して欲しい。
つまり、4人の証言というのは、すべて大上 天道からの伝聞に過ぎない。
ということは、大上 天道がウソをついている場合、4人の証言すべて作りものってこともあり得るんだ。
…つまり、すべてがひっくり返る。
そう…、ウソツキは大上 天道さ。
この話のうち、七羊財閥で千輪和子の自殺が発生したということは事実。新聞記事になったくらいだからね。
しかし、その後の、自殺事件の真相解明をボクに依頼する…というくだりから、天道の陰謀だ。
彼は、七羊財閥の名声を地に落とすため記者に情報を売り渡した。
その上で、事件の規模をさらに拡大し、七羊財閥により大きなダメージを与えるため、ボクに声をかけたんだ。
真相解明だなんてとんでもない!七羊財閥の周辺を探偵に嗅ぎまわらせ、そこをさらに新聞や雑誌に流すことで、世間の噂話の拡大を狙ったのさ。
それに気づいたボクは、この依頼を断った。
…けど、今にして思えば、断らない方がよかったかもしれない。
というのもその後、大上 天道はさまざまな手を駆使して七羊財閥の名声を失墜させ、使用人にも拘わらず財閥を乗っ取ったんだ。
…その後、大上 天道がボクに関わることはなかった。
…さて…、今回はまだ夜が明けない。まだ宵の口。ボクの時間は続く。
なぜなら、大きな時を経て、再び大上 天道と関わることになったからさ…。