倉庫【ぞくっ、とする怖い話】
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Oさんは、ある運送会社に警備員として勤めていた。
運送会社の社員達が仕事を終え帰宅してから、Oさんの仕事は始まる。
仕事入りと深夜2時、朝6時という3回、決められたルートに従って倉庫内の見回りを行う。それ以外の時間帯は、監視モニターをチェックする……というのが主な仕事だった。
見回り中気をつける必要があるのが、倉庫の二階。二階といっても申し訳程度。フロアのほとんどが吹き抜けになっており、二階部分はほとんど「へり」といっていいような狭さ。
一応手すりがついているためそこまで危険ではないのだが、暗い中で見回るため注意するのに越したことはなかった。
その日も、Oさんは一度目の見回りを慎重にこなした。
……しかし、深夜2時の見回りの時。
倉庫の中に、人影を見かけた。倉庫の二階部分だ。
懐中電灯と、警棒を手にOさんは人影を追った。髪の長さからして、女性のように見える。
場所が二階なので慎重に追いかけたいところだが、相手のスピードが早く、そうも言っていられない。Oさんは手すりから手を離し、かけ足気味に追いかけた。
すると、次の瞬間、Oさんの視界がぐらっ……と回転した。
眩暈かと思ったが、そうではない……。
Oさんは手すりを乗り越え、転落していたのだ。
さいわい当たり所がよかったのか、打撲程度の怪我で済んだそうだ。しかし、Oさんはその日を最後に仕事を辞めた……。
Oさんが追っていた相手の場所からすると、追っていた相手は空中を飛んでいたことになる。
どう考えても……人間ではない。そのことを思うと震えが止まらなくなり、とてもじゃないが続けられなかったという。
以降、深夜警備員の仕事は避けるようにしているそうだ。