青白い人【ぞくっ、とする怖い話】

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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。

今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。

Tさんが交差点で信号待ちをしていた時のことだ。

道路の向こう側には、こちらへと向かう人たちがTさんと同じように信号待ちをしている。

その中に一人、明らかに青白い顔の人がいた。

体調が優れないのかな……。

そう思ってTさんは、その人をじっと見てしまった。

しばらく見続けてTさんは、あまり見つめては失礼だということに気づいた。

その時、信号の色が青になった。

「何か文句言われるかも……」

そう思いながらTさんが横断歩道を進んでいくと、その青白い人がTさんの方に進んでくる。

「やっぱり、文句があるのか……」

青白い人は明らかにTさんの方を目指して歩いてくる。

しかし、そのままだとTさんとぶつかるところまで来て、その人はすっ……と避けて歩いて行った。

Tさんは「よかった……」と、一瞬ほっとしかけた。

しかし次の瞬間、Tさんは気づいた。

すれ違う瞬間……その青白い人は、小声で、Tさんの本名をフルネームで、何度も何度も繰り返していたのだ。

もちろん、Tさんはその人と何の面識もない。

Tさんは背筋が震え上がったという。

もちろん、偶然に過ぎないのかもしれないが……。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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