ゴミ捨て場【ぞくっ、とする怖い話】
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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
?さんの家の近所にあるゴミ捨て場での話だ。
ある日、ゴミ捨て場でゴミが散乱しているのを見かけてから、ちょくちょくゴミの散乱を見かけるようになったという。
どうやら、野良猫がゴミ捨て場を荒らしているらしい。
隣の家に住むおしゃべりな奥さんによると、誰かがごみ袋をしっかり封しないで捨てているせいとのこと。
封をしないで捨てるから、匂いで野良猫が寄ってきているのだという。
?さんはそんなものかと気に留めていなかったが、ある日ゴミを捨てに出ると、確かに匂う。
明らかに、ゴミ捨て場に捨ててあるゴミ袋から漂っている。
一度匂いを感じてしまうと、それがどこから漂ってくるのか、元を突き止めたくなってしまう。
?さんはゴミを捨てるそぶりを見せながら、それとなく他のゴミ袋をチェックしてみた。
すると、すぐに見つかった。
しっかり封をしていないゴミ袋が、他のゴミ袋の前に、割と大胆に捨ててある。
しかも、市町村指定の黄色いごみ袋ではない。
今では使われていない、黒いごみ袋だ。
思わずIさんは、袋の中をチェックしてしまったという。
すると、その中には……ところどころ赤い液体にまみれた、長い髪がギッシリとつまっていたそうだ。
それ以降、その家から引っ越す時まで、Iさんはゴミ袋の話題に一切触れなかったという。