マラソンおじさん【ぞくっ、とする怖い話】

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Hさんが公園で体験した話。

その公園はかなり大きめの公園で、外周の距離もあるため、マラソンのため利用する人も多かったという。

Hさんはマラソンではなく、犬を連れて散歩していた。いつも仕事が終わってから散歩しており、その日は手間取ってしまったこともあって夜遅い時間の散歩になったそうだ。

さすがに公園内の人影はまばら。

ただ、ちらほらとマラソンをしている人がいたという。恐らく、人に見られるのが恥ずかしいといった理由だろう。

……そんなことを考えながらHさんがそのまま散歩していると、不意に声がかかった。

「すみません、どいてもらえませんか…?」

振り返ると、50台くらいの男性が笑顔で立っていた。手を肘で折り曲げ、その場で足踏みをしている……いかにもマラソンランナーといった格好だ。

ただ……息遣いがやけに荒い。

運動しているのだから息遣いが荒いのは当然かもしれないが、それにしても呼吸が荒いのだ。何か…必死さを感じさせるものがあった。

そんなことを感じながらもHさんは、「ごめんなさい」と言って道の端へと避けた。男性はそのまま、マラソンを再開した。何気なくHさんがその姿を見ると……

男性の背中に、包丁がずぶりと刺さっていたという。

何度も見返したので、見間違いではない……そう、Hさんは言っている。

男性は深く包丁が刺さっているにも関わらず、終始笑顔で、元気に駆けて行ったそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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