絶対見つからない【ぞくっ、とする怖い話】

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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。

今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。

Eさんが小学生のころの話だ。

ある日の放課後、友だちと学校にそのまま残ってかくれんぼをしたという。

Eさんはトイレに隠れることにしたそうだ。

小学生のころは、男子が女子トイレに入ることも、女子が男子トイレに入ることも禁忌に近いものだった。

だから、男子が鬼の時は確実に見つからない。

今思いかえれば卑怯だと感じるものの、当時はなんて頭がいんだろうと考えていたという。

トイレに入り、個室に籠もったEさん。

案の定、鬼が追いかけてくる気配はない。

周囲はしん……と、静まり返っている。

「ここなら絶対見つからない……」そうEさんが思った時のことだ。

「ここなら絶対見つからないよ」という声が、隣の個室から聞こえた。

思わずEさんは悲鳴を上げそうになったという。

隣の個室に、もう誰か隠れていたのか。

でも、Eさんは一人別の方向に逃げて、トイレまで来た。

友達が先に入っている可能性は少ない。だとしたらこれは誰なんだろう?

そんなことを考えていると、辺りが徐々に暗くなってきた。

一体どれくらい時間が経ったのだろう。

本当にこのまま見つからない……ずっと……永遠に、それこそ絶対に見つからないんじゃ……。

怖くなったEさんは、トイレから急いで出たという。

気づいた時には、鬼役の友だちに抱きついて、わんわん泣いていたそうだ。

かくれんぼに参加した友だちは全員その場にいたが、誰一人としてトイレに隠れたものはいなかったという。

もちろん、誰かが嘘をついたのかのかもしれない。

しかしそうは見えなかったという。

それと……、Eさんが友だちと合流した時、辺りは暗くなってなどいなかったそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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