布団【ぞくっ、とする怖い話】
[投稿日:
実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
Nさんが体験した話だ。
怖い話と言うのは、旅行の日だとか、肝試しにでかけた日、引っ越しをした日……などといった、何か日常と離れたことを行った日に体験する人が多い。
しかしNさんの体験は、本当になんでもない、普通の一日に起きた。
何故その日に起きたのかはわからない。本当に普通の日に起きた。
ある夜の事。
Nさんがふと目覚めると、赤い布団が積み重なっているのが見えた。
ああ、押し入れが開けっぱなしだったか……。
そう思ったNさんは、再び寝ようと目をつぶった。
しかし、何かが引っかかって眠れない。
そう……Nさんは赤い布団など持っていないのだ。
Nさんは目を開けて赤い布団の方を見た。
見間違いじゃない。
そこに、赤い布団が置かれている。
さらに、見ていると、どうも布団はもぞもぞと動いているようだ。
驚いたNさんは起き上がり、電気を付けた。
すると……確かに見ていた方向には押入れがあったものの……襖が閉まっていたらしい。
その日はそのまま電気をつけ、朝までマンガを読んで過ごしたという。
ちなみに、Nさんがこうした出来事に遭遇したのは、その一夜だけだそうだ。
なせその日に、そんなものを見たのか、まるでわからない。