匂い【ぞくっ、とする怖い話】
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Kさんがビルの夜間警備員として働いていた時のこと…。
業務内容は基本的に、モニターでビル内の監視カメラの映像をチェックする…というものだった。
ただし、深夜2時30分、深夜4時30分、朝6時30分という三回、見回りを行う。
このうち、深夜2時30分の見回りが鬼門だったとKさんは語っている。
警備員室は1階にあり、見回りの際は1階から順番に最上階である7階まで確認する。最上階につくころは、深夜3時ちょっと前くらいになっていたそうだ。そして…この最上階の見回りが、どうにも不思議だったという。
Kさんが最上階について見回りを始めるとエレベーターが動きだし、1階まで下りてまた戻ってくる。建物には誰も入れないはずなのに、だ。
さらに奇妙なのは、エレベーターが戻ってきた後、かすかに匂いが残っているのだという。
匂いは最初は香水の匂いだったそうだ。甘い…女性ものの香水の匂い…。
だが、何日か経過したころ、その匂いが汗の匂いに変わった。ワキガのように強く感じたことから、きっと男性の汗に違いないとKさんは思ったのだそうだ
そしてある時…。
その匂いは、生臭い匂いに変わった。
血の匂いだ…Kさんはそう感じたという。
次の日、Kさんはその仕事場を辞めたのだそうだ。
以来、Kさんは警備員はおろか、深夜の仕事すら絶対に就きたくないという。