幽霊はいなかった【ぞくっ、とする怖い話】

[投稿日:

Aさんがまだ大学生だったころの話。

ある日Aさんは友達から、幽霊を見に行こうと誘われた。場所は、交通事故が多発することで有名なとある峠道。

そこは心霊スポットではないのだが、沢山人が死んでいるんだから、幽霊の一体や二体出るだろうというのが友達の意見だ。

大学時代で皆暇を持て余していたので、仮に幽霊が出なかったとしても、暇がつぶせておもしろいだろう、という。しかし、Aさんはその誘いを断った

Aさんはホラー映画も観れないくらい、筋金入りの怖がりだったのだ。

ただ、Aさんが行かないとなると車がない。

友人たちは運転免許こそ持っているものの、車を持っていなかったのだ。

結局Aさんは折れ、Aさんが行かない代わり車を友人たちに貸すこととなった。

その結果…。

幽霊など現れなかったそうだ。

そんなことがあってから数週間経ったころ。

Aさんは車内を掃除していると、後部座席のシートに一本の長い髪の毛が絡まっていた…。

友人の中に長髪の女の子がいるので、その子のものだろう…。Aさんはそう思い、髪の毛を引き抜こうと力を込める。

若干の手ごたえの後、髪の毛が抜けた。

すると…。

髪の毛の塊が…ごそっと…シートの隙間から抜けた…。

握りこぶしほどのその塊は、どろっとした液体によって濡れていたという。

後日、Aさんはその車を中古車屋に売ってしまったそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

この記事の関連記事

メールの返事

[Posted:]

「見えているのか」

[Posted:]

赤い布団

[Posted:]

百物語

[Posted:]

上に戻る