愚痴【ぞくっ、とする怖い話】

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Wさんの友人に、ファッションやヘアスタイルに人並み以上こだわる女性がいたという。これは、その女性…仮にYさんとしておこう…の話。

Yさんはキツい性格だったという。男性と交際してもすぐケンカして別れてしまう。Wさんを含めてYさんを知る友人達は皆、Yさんはきっと結婚できないだろうと思っていた、という。

しかし、当のYさんは、意外とすんなり結婚してしまった。

だが、トラブルはそこからだった。

Yさんの夫の祖父が認知症になってしまい、同居して介護する形になったのだ。

たまに会うとYさんは必ず、介護の愚痴をこぼしていたという。やがて、その愚痴はどんどんエスカレートしていった。

しかし…ある時、ピタっと愚痴は止まった。

聞いてみると、夫の祖父を介護施設に入れることにしたという。

ただ…Yさんは、口ぶりこそせいせいした、というふうだが、表情が曇っている

「なんかあったの?」とWさんはたずねた。

すると、「『死んだらお前の大事なものを奪ってやる!』って言われた…」という。

普段からキツい性格のYさんがそんなことくらいで落ち込む?…とWさんは思ったそうだが、Yさんによるとその言葉を告げた時の夫の祖父の顔が、凄まじい形相だったのでしこりが残っているのだという。

その後…Yさんの夫の祖父は亡くなった。

その数日後、Yさんの家が火事となり、Yさんが大切にしていた服は全て焼けてしまったという。出火元は、Yさんの夫の祖父の部屋だったらしい。

さらには…その数年後、Yさんはがんにかかり、抗がん剤の影響で自慢の髪が全部抜けてしまった

もちろん、Yさんの夫の祖父の言葉と関係しているかどうかはわからない…。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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