人身事故【ぞくっ、とする怖い話】

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鉄道関係者のOさんから聞いた話。

東京と神奈川とを繋ぐ、ある鉄道の路線でのことだ。

詳しい駅名は伏せるが、とある駅で人身事故が発生した。

電車に飛び込んでの自殺。

後から遺書も見つかったという…。

よろこばしい話ではないが、人身事故など別に珍しいことではない。

ただ…この事故に関しては、少し変わっていた。

というのも、自殺者の上半身が見つからなかったのだ。

通常1時間ほどで終わる復旧作業が、1時間延び、2時間延び…数時間延びでも終わらない。

どうしても見つからないのだ。

…上半身だけが。

結局…異例なことであるが、上半身が見つからないまま、復旧になったという。

…その、数日後のこと。

飛び込み自殺があったのと同じ場所で、同じ車両が衝撃を検知し、緊急停止した。

まったく同じ場所で、まったく同じ車両が人身事故か…。

車掌も運転手も、薄気味悪いものを感じながら、原因を確認するため車両の外へ降りた。

…ところが…。

車両のどこにもぶつかった形跡がない。

確かに衝撃を検知したはずなのに…。

…見まわしたものの、周囲に倒れている人もいない。

とその時、Oさんも運転手も、背後に冷たい気配を感じた。

振り返ると…。

上半身が、あった

車両のフロント下部にから2人を見つめるように、遺体の上半身が、あった。

数日前何度も確認し、見つからなかったあの上半身だ。

……この件は、乗客に対しては検知機器の故障と告げられたそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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