くらげ【ぞくっ、とする怖い話】
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オカルト好きなTさんは、友達とともに自殺の名所めぐりをしたことがあるという。
これは、その時の話。
場所は、海水によって岩が切り取られ、断崖絶壁となった海岸。
Tさんはもちろん自殺する気などなかったが、見降ろしているとその高さに思わず吸い込まれてしまいそうな気分になったという。
Tさんと友達はしばらく崖から下を見下ろしていたが、やがてそれぞれに写真を撮り始めた。普段目にしない光景に、時間を忘れて写真を撮りまくったそうだ。
Tさんが夢中になっていると、不意にTさんは肩を叩かれた…ような気がした。
しかしカメラから目を離して振り返っても、誰もいない…。
「なんだろう…」と思いつつ再びファインダーに戻ろうとした。
その時…視界のはしっこに、青白く輝くものが見えた。
切り立った崖の角に、やや青白く…半透明でぶよぶよとしたものがひっかかっている。
Tさんは咄嗟に、くらげの死体と思ったそうだ。
しかし、海面から崖の上までは相当な高さ。いくらなんでもくらげの死体がここまで打ち上げられることはなさそうだ…。
そう思い、再びじっくり見ようとすると…それが何なのか、わかった。
それは、人間の顔だった。
青白く、半透明でぶよぶよとした人の顔が、切り立った崖の端にひっかかっている。
Tさんは思わず悲鳴を上げよろめき、カメラを落としそうになったそうだ。
すると…
「大丈夫…!?」と、友達に後ろから支えられた。
友達に説明しようとしたTさんが、もう一度顔のあったところを見ると…そこには何もなかったという。
それから、面白半分に自殺の名所へ行くことはやめたそうだ。