肝試し【ぞくっ、とする怖い話】
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Yさんが体験した話。ある日、近所にあるというダムに友達皆で行くことになった。
目的は、肝試し。
そのダムは、自殺者が出るということで有名なダムだったのだ。
出かけたのは、Yさん、Sさん、Dさんという3名。うち、YさんとDさんは男性。Sさんは女性だった。
ダムの周りは鬱蒼とした森林地帯。
森林に漂う静けさと大きく広がるダムの水面とに圧倒され、Yさん達はみな、神秘的な気分になったという。
ただ、荘厳で神秘的な雰囲気ではあるものの……怖くはない。そこで、Dさんが言いだした。
「周りの森林もちょっと探検してみない?」
せっかく肝試しに来たのに、怖い気分が味わえないのではもったいないというのだ。
確かに、わざわざガソリン代もかけているのだから、その気持ちは分かる。
そう思ったYさん達は、辺りの森林を散策しだした……。
しかし数分も散策すると、探検しようと言いだしたDさんが自ら、帰ろうと言いだした。
「Dが言いだしたことなのに…」とはいえ、ことさら森林散策がおもしろいわけでもなかった。
「帰るってことでいい?」と聞くと、Sさんもうなづいている。
結局、散策をそこでやめて、帰ることになった。
その、次の日のことだ。Dさんから一通のメールがあった。
「あの日、森林探検していた時、一人多かったよな?」
Yさんが「なんのこと?」と返すと、すぐに返信が。
「一緒にいたあの女、誰だ?」
「何言ってんだ?Sさんじゃないか?」
そう返すと、「お前こそ何言ってんだ!Sさんは車で待っているって、森林には来なかったじゃないか!」
そう言われて、Yさんも思いだした。ダムを見ている途中でSさんは気分が悪くなり、車で待っていることになったたのだ。
その時の女性が誰だったのか……Yさん達はそれ以上深く追求しなかった。怖い気持ちが先に立ってしまったからだ。
……そのダムの自殺者の多くは、女性だという。