川【ぞくっ、とする怖い話】
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Kさんは霊感が強いのか、心霊現象に遭遇することが多いらしい。そんなKさんが休日に遊びに出かけた、帰宅中のできごと…。
一日たっぷりと遊んだため、帰宅時にはすでにあたりが暗くなっていた。
Kさんの家の周囲は街灯が少ないため、深夜かと思えるほどの暗さだったという。
とはいえ、幼いころから歩き慣れている道。暗さに構わず、Kさんは足早に歩いていく…。スタスタと歩いていたKさんだが、やがて歩くテンポを落とした。
そこには、川があった。その川には柵がない。さほど大きな川ではないものの、人が溺れるには十分な深さと幅を持っている。危険なことは明らかなのだが、何故か長いこと柵が設けられていないのだ。
Kさんがゆっくりとしたスピードで歩いていると、川を渡る橋が見えた。帰宅するためには、その橋を渡る必要がある。
しかし…Kさんは橋を渡らなかった。
橋の周りだけに真っ白な霧がかかり、その霧の向こうに人影が見えていた。人影は、手まねきをしているように見える。
Kさんはその場で、じっと人影を見つめ続けた。すると、人影が薄くなるとともに霧が徐々に晴れて行った。
霧が晴れた時、そこに橋はなかった。本当の橋は、人影が手まねきしていた場所から数メートルほど離れたところにあったそうだ。
もし手まねきに応じて橋を渡っていたら…川に落ちていたところだったという。