路上駐車【ぞくっ、とする怖い話】
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Kさんが深夜にコンビニへタバコを買いに出かけた時のことだ。
家を出て住宅街の中を通って大通りへ。その後道沿いにしばらくいくとコンビニだ。徒歩で片道15分ほどかかる。
深夜ということもあって、しんと静まり返った住宅街。その中を歩いていて、Kさんはアレ?と思った。白い車が一台、道に停まっている。
よく見ると、車体がぼろぼろだ。フロント周りが変形し、ところどころ凹んでいる。修理代を惜しんで、事故車をそのまま使っているのだろうか…。
とはいえ…特に不思議な点があるわけじゃない。違和感を受けたのは…さほど広くない道に見慣れぬ車が停まっていたせいだろう。Kさんはそう思って通り過ぎようとした。
しかし通り過ぎようとして再び、アレ…と思った。
もぞもぞと、車の下に、何かがうごめいている。はじめは、猫か何かだろうと思った。
…けど、そんなに小さくない。
人の体…上半身ほどの大きさがある。
人の上半身ほどの何かが、もぞもぞと、うごめいている。
いや…人の上半身ほどの何かではない。
人の上半身そのものだった。
車の下に人の上半身があり、それがもぞもぞとうごめいているのだ。手はギュっと車のバンパーを掴み、うごめきながら何かを繰り返し喋っている。ごにょごにょと…はっきりとは聞こえない。しかし、確実に何か口にしている。
Kさんは自分の体に一気に寒気が走るのを感じた。そして、そのまま自分の家に逃げ帰ったという。
その後…Kさんは自宅から離れた場所でひき逃げ事故があったという新聞記事を見た。
ひき逃げ事故だから、事故とあの車とが関わっているかどうかはわからない…。