探検【ぞくっ、とする怖い話】
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子どものころ…、大人に禁じられていることをあえてやってみた…という人は少なくないのではないだろうか。
そこにはタブーを犯しているスリルと、この上ない開放感があるからだ。
Sさんが通っていた小学校は、休日になると誰でも校庭や遊具で自由に遊べたという。
今では安全管理上考えられないことだが、当時は今よりずっとおおらかだったため、そういう学校も少なくなかった。
…その休日、Sさんとその友達は学校で遊ぶために集まった。
すると、誰からともなく学校の中を探検しようという話に。
学校の中には、生徒が勝手に出入りしてはならない場所がある。
たいていの場合、そういう場所は施錠されているものだが、中には入れるところもある。
そういうところを探検しよう、というのだ。
時間は昼の2時、3時くらい。
まだ日は明るいが、幸運なことにその日は学校に人気がなかった。
やめようと止める者もいたが、「学校がお休みなんだから普段のルールは関係ない」
と誰かが言うと、その理屈に皆が探検しようというノリに。
最初のうちは皆がまとまって上級生の教室等を中心に探検していた。
しかし、皆で一緒ではスリルがない。
やがて、皆散り散りになって思い思いの場所を探検し始めた。
…そんな中、Sさんは渡り廊下に向かった。
渡り廊下の裏に他からは見えることのない一角がある。
暗くて…禁じられているわけでもないのに普段は誰も寄り付かない…そんな一角。
なんとなく、Sさんはその一角に向かった。
すると…。
そこに、大人の男性と、女性がいた。
男性は、女性に覆いかぶさっていた。
その光景にSさんは、直観的に恐怖を感じたという。
子どもだから、男女の行為がまだ理解できなかった…
…というわけじゃない。
男性が、女性の首を強く、締め上げていたからだ。
Sさんは、一目散に逃げ出した。
…ただ、今でも、女性の首を締めあげているあの手が記憶をよぎることがある……という。