写真【ぞくっ、とする怖い話】
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Mさんがまだ小さかったころの話。
初詣に行ったお寺で、妹さんと一緒にご祈祷を待っていた時のことだ。
初詣で混雑していることもあってなかなか帰ってこれないだろうと心配したお母さんから、Mさんは携帯電話を手渡されていた。
その携帯電話についていたカメラに興味を持ったMさん、妹さんと一緒に様々なものを撮り始めたそうだ。
初もうでに来ているお客さんや、室内の様子…。
やがてMさんは撮影が楽しくなってきて、もっと色んなものが撮りたくなった。
ふと後ろを振り返るとふすまが開いており、外の景色を撮ることができそうだ。
Mさんは携帯を妹さんに渡し、外の風景を撮るよう伝えた。
大事なものでも守るように携帯をしっかりと両手で構えた妹さんが、シャッターボタンを押す…。
シャッターを押したと妹さんは、撮れたばかりの画像を満面の笑みでMさんに見せた。
その画像を見てMさんは、あれ…と思ったという。
ふすまの外は、人の立ち入れない崖のような状態になっている。
崖は急な斜面になっており、仮に立ち入ったとしても立っていることすら難しそうだ。
しかし…そんな中に、人が立っている。
ぼやけてはいるが、成人の男性だということはわかる。
急な斜面にも関わらず、どっしりと安定した姿勢でこちらを見ている。
どうやって立っているんだろう?
そう思って足元を見たが、小さな植木によって隠れていた。
「変なの!」
Mさんは妹さんと二人笑って、携帯を閉じた。
その後、Mさんも妹さんも何事もなく過ごした…。
ただ、写真を撮影した数日後に、その携帯電話が動かなくなってしまったそうだ。
「もしかするとその写真と何か関係があったのかもしれません」
…Mさんはそう語っている。