ダイコクオンカミ…「赤ずきん」と日本の神様の意外な共通点!?【ネタバレあり】
[投稿日:
シャルル・ペロー/の『赤ずきん』がベースの『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』。
…なんだけど、実は背景は日本の神道がベース。
そのことは、真エンディングに到達すると分かるのでぜひプレイしてほしい!…のだけど、今回はネタバレありで、裏側の背景の解説をしたい。
世の中でいう『赤ずきん』は、少女が狼に襲われ、猟師によって助け出されるという物語。
けど、シャルル・ペローの『赤ずきん』は、少女が狼に襲われるところで終わり。
現実のエピソードして考えたら、何も悪いことをしていない人間が殺される…なんて事件はたくさん起こっている。
でも、「物語」としてとらえると、たとえホラーであっても、物語として未完成のように思えて気持ち悪い。
そこで、『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』では、日本の神道と融合させることにしたわけです。
日本はもともと仏ではなく、神を崇める国だったのだけど、そこに仏教が伝来。神仏習合によって、神も仏も融合した形となった。
いわば、神も仏も似たような存在という考え方で、この考え方は明治時代の廃仏毀釈が行われるまで続く。
明治政府は、西洋の国家に立ち向かうため、日本独自の宗教として「神道」を確立したかった。
なので、神も仏も同じ…ではなく、神こそが日本のオリジンという位置づけをしたわけですな。
とはいえ、神とはなんなのか?
映画『ののけ姫』に「祟り神」という言葉が出てくるけど、日本の神はこの「祟り神」という性質を持っている。
「祟り神」というのは、文字通り「祟る神様」。
そんな厄介な存在をなぜ神様として祭るのかというと、祟らないでほしいから。「お願いだからどうか、祟らないでください!」と祈るわけ。
もちろん、神様にも(たぶん)メンツがあるので「ほな、祟るのやめとくわ〜」と簡単にあきらめてくれるわけじゃない。
神様は人間の想像が生み出した存在。…だけど、完全に架空の存在というわけではなく、実体が存在している。
たとえば、 たとえば「狼」や「熊」といった 存在。
山に生息し、 現地民たちの住居を荒らしたり、時には被害を与えたりする「狼」や「熊」は、現地民にとっては「山の神」のようなもの。
現実的に被害を抑えるためには、ただ祈るだけではダメ。そこで、お供え物が必要となる。
このお供え物は、単純に食料ということもあったろうが、子供や女性ということもあったろう。
昔は今とは違い、人の命が安かった。子どもは労働力として扱われ、飢饉になると消費を抑えるため殺されること(口べらし)ということもあったほどだ。
つまり、何も悪いことをしていない人間が殺された…。
ここまで来ると、シャルル・ペローの『赤ずきん』と似てるよね。
ちなみに、 神に御をつけて「オンカミ」あるいは 「ミカミ」と呼ぶけど、 そもそもは 「大神(オオカミ)」という言葉だった可能性がある模様。
そして、「大神」の語源は動物の「狼」。
なので、日本の祟り神=狼説は、あながち間違っていないのだ。あながちだけど!
『RED HOOD BIZARRE(レッド・フード・ビザール)』の怪異の象徴、七福神「大黒天/」が変異したラストボス「ダイコクオンカミ」はこうした経緯で、生まれたわけです。