第三夜-獣たちが歌う夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第一章・わらべ唄
なんでも最近は、国民みんなが知っているというクラスのヒットソングは出にくくなっているらしいよ。
時代は移ろうからね…。
国民みんなで共有するという時代の前には、地方ごとに「わらべ唄」なんてものがあった。
わらべ=子どもが歌うから「わらべ唄」…
…なんだけど、聴いてみると、子ども向きじゃない歌詞を持つものが多い。
たとえば、人買いに買われる子どものことを謳っている…なんてね。
今回の話も、こうした「わらべ唄」にちなんだものなんだ。
第二章・けもの村に伝わる唄
その村…山中村は、名前の通り山の中、奥深くにあってね。
獣道を通らなければ行くことができない…ってんで、「けもの村」なんて呼ばれていた。
ひどい呼び名だと思うんだけど、これにはもうひとつ理由があってね。
村にはこんな「わらべ唄」が伝わっていたんだ。
天神様のいうことにゃ生きるためには命がいるさ
命が減ったら生きてはおられぬ
ひとつ命が失われ
生きていたのは磔(はりつけ)に
ふたつ命が消えていき
生きていたのは獄門(ごくもん)に
みっつ命が落ちていき
生きていたのは八つ裂きに
第三章・殺人事件
そんなけもの村…いや、山中村で、ある時、一人の男が死体で見つかった。
男の名前は田原 虎男(たはら とらお)。
死体は、十字架に磔にされた状態だったらしい。
事件はそれだけでは終わらなかった。
続いて死体になったのは、犬山 狐太郎(いぬやま こたろう)という男性。
彼は生首だけの状態で発見された…。
二つの殺人事件に、村は大騒ぎになった。
もともとは閑散とした村だったんだけど、あちこちでお祈りをしたり、お供え物をしたり、神社で護摩焚きをしたり…なんて、まるで祭りのような様相さ。
さらに、どこからともなく、この殺人は「わらべ唄」にちなんだものなんだって言われるようになった。
何せ、ひとつめの事件は磔だし、ふたつめの事件は生首の状態…つまり、獄門。まさしく、「わらべ唄」のようだ。
そして…もしそうだとするなら、重要なことは、わらべ唄にはまだ続きがあるということ。
つまり、近い内に三つめの殺人事件が起きるということになる。
ボクの見たところ、この殺人事件は確かに、「わらべ唄」をなぞるように引き起こされている。
ということは…逆に言えば、みっつめの殺人事件を防ぐことができるということだ。
読者への挑戦
さあ…みっつめの殺人事件を防ぐため、わらべ唄の法則性を解読して、被害者になりそうな人を次の4人から見つけ出して欲しい。
1)猿渡 彦一(さるわたり ひこいち)
2)小鳥遊 竜胆(たかなし りんどう)
3)樺鳶 海月/(かばとび みづき)
4)須藤 正一(すどう しょういち)
答えを明かすのは一週間後…。
…一週間の間、知恵を絞って答えを考えてほしい。
答えを明かすのは一週間後…正しさが示されるのは一週間後の夜だよ…。
2020年6月11日 お詫び
登場人物である田原 虎男(たはら とらお)の名前を、当初田原 虎蔵(たはら とらぞう)としていましたが、この形だと謎の真相が破綻してしまうため、名称を変更しました。
最初に読まれた方には正しく推理することが難しい状態になっており、申し訳ありませんでした。