第四夜完結編-ハゲタカが落ちた夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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最終章・真相
ハゲタカが遺したとされる遺書。
バラバラの紙片で発見されたその遺書の、正しい順番は、1、2、10、4、5、6、7、8、9、3、11。
この通りに紙片を並び替えると、次の形になる。
1)「私は決心した。もうこれしかない」
2)「殺すのだ」
10)「司郎を」
4)「もう限界だ。我慢しようにも、我慢ならない」
5)「何故息子を…、司郎を、あんな人間に育ててしまったのか…」
6)「これは私自身が犯した過ちだ」
7)「だから、これしか方法がない。過ちを正すしかないのだ」
8)「だだ、私を悩ませるのはこれからのことだ」
9)「こんな行動を行って、世間は…いや、死んだ沙織(さおり)は、許してくれるだろうか」
3)「自分を」
11)「…いや、だがこれしか方法はないんだ。悩んでいるヒマはない。もう実行するしかない」
3番の紙片と10番の紙片が入れ替わることで、ハゲタカが自殺などまるで考えていなかったことが分かる。
むしろ彼は、天敵である息子、鷹村 司郎(たかむら しろう)を殺そうとしていたんだ。
では何故、逆にハゲタカの方が死んでしまったのか?
…それはつまり、こういうことさ。
ハゲタカは、殺そうと思って息子…司郎を呼び出した。
しかし、父であるハゲタカの殺意に気づいた司郎は、逆にハゲタカを殺してしまう。
この時、司郎にとっては運がよく、ハゲタカの死体は、即座に他殺と断定されるような状態ではなかった。
ただ、司郎はハゲタカの日記に気づき、そのまま逃げられなくなる。なぜなら、そこにはハゲタカによる司郎殺害計画が書いてあるからね。
司郎がハゲタカの死体を放置して帰ったなら、真っ先に疑われることは間違いない。
そこで司郎は思いついたのさ。日記を破いて、ハゲタカの遺書を偽装することを。
ハゲタカという鳥は死肉を喰らう。だから禍を呼ぶ鳥だ…なんて言われる。
…けど、実際にはハゲタカなんて鳥はいない。実在しない鳥なんだ。
鷹村 雄司(たかむら ゆうじ)…ハゲタカと呼ばれた男は、死んで、実在しなくなってなお、息子である司郎に災いをもたらした。
彼の生きざまからすると、ハゲタカという名にふさわしい人かもね。
…さて…、もうすぐ夜が明ける…。ボクの時間はここまで。また次回、お会いしよう。