第五夜完結編-亀の泣く夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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最終章・真相
亀山 智子(かめやま ともこ)の死因…それは、餓死さ。
智子の死亡現場は、部屋のあらゆる窓は内側から施錠されており外部には鉄格子。扉も、内部から施錠された上、外部から南京錠がかけられていた。
つまり、完全な密室…なんだけど、外部から南京錠がかけられていたという点に注目して欲しい。
内側からの施錠は、つまり智子自身が行ったということ。夫である亀山 晃司(かめやま こうじ)のDVを恐れ、内部からカギをかけたのだろう。
一方、外側からかかっていた南京錠は、夫である亀山 晃司(かめやま こうじ)にしかかけられない。つまり、晃司は意図的に智子を閉じ込めたということさ。
実は、智子は現場に手記を残していた。
その手記には、大学時代から一緒だった夫、晃司の性格が変貌していったことについて、悲しむ言葉が書き連ねてあった。
その手記によれば、晃司の暴力に怯えた智子は、次第に晃司とまともに話すことすらできなくなり、部屋に閉じこもった。そして、恐怖のあまり、カギを開けることができなくなったんだ…。
一方、智子のそんな態度に晃司の怒りはさらに刺激された。彼は智子をなじり、外側から南京錠で施錠。智子を部屋に閉じ込めた。
手記によると、智子もさすがに空腹を感じ、扉を開けようとしたことがあったようだ。そしてその時、外部から閉じ込められていることを知った。
彼女はパニックになり…そこから先のことは手記に書かれていないのでわからない。
ただ、パニックになった彼女の様子を知ってなお、晃司が南京錠を外さなかったことは事実。だから智子は餓死に至った。
これは事故ではない。監禁致死でもない。れっきとした殺人だ。
どんな人も心に闇を抱える…。
とはいえ、愛し合った二人の間にも闇が生まれるなんて、やるせないね…。
…さて…、もうすぐ夜が明ける…。ボクの時間はここまで。また次回、お会いしよう。