犯罪者が直面する現実をリアルに描いた一般市民虐殺シューティング「Hatred」

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ホラーって、たいていシリーズを重ねるごとにホラー成分よりユーモアの成分の方が勝っていくように感じている。

映画でいえば「13日の金曜日」も「エルム街の悪夢」も、さらにはあの「リング」でさえユーモア成分を増やしていった。

ゲームでいえば以前紹介した一般市民を虐殺ゲーム「POSTAL Redux」なんて、不謹慎ゲームと言われるほどの存在だけれど、プレイするとそこにはユーモアが込められていると分かる。

一方、今日紹介するゲームは「POSTAL Redux」に近い世界観、ゲーム性を持ちながら、ユーモアがほとんどない

リアルに作られた一般市民を虐殺ゲーム「Hatred(ヘイトレッド)」だ!

ココがWuah!「Hatred」の魅力は、抑えた表現で作られたリアリティ

「Hatred」は、一般市民や警察を虐殺しながら原発破壊を目指す見下ろし型の全方位シューティングゲーム。

タイトルの「Hatred(ヘイトレッド)」=「憎悪・嫌悪・怨恨」が示す通り、主人公はこの世のすべてを恨み、破壊しようと思っている殺人鬼だ。

この辺りの設定は「POSTAL Redux」とほとんど一緒だけど、ステージが始まって警察がステージ上に配置され、戦うことになる「POSTAL Redux」と違って、本作は一般市民を殺すことではじめて警察が来る

しかも、警察署からパトカーで駆けつけてくるため、若干のタイムラグが存在している。

仮に現実世界で殺人事件を犯したら、通報されてはじめて警察が駆けつけてくることになるため、本作のつくりは非常にリアルだ。

これだけでも「POSTAL Redux」がどれだけゲームのお約束に従っているかよくわかる。

また、ビジュアル表現も非常にリアル。

チープさとコミカルさの同居するデザインを持った「POSTAL Redux」と違い、本作のビジュアルは徹底的にリアルでディフォルメせずに作られている。

「POSTAL Redux」はマップ上の家の中に入ることができなかった。これもまたゲームのお約束だが、本作ではすべての家に侵入可能

また、マップ内に配置された車も運転することができる。

こうした点もリアルさに貢献していると思う。

本作は2Dのように見えて、実際のところは3Dで作られている。

3Dであることを活かした演出が、処刑演出。

息も絶え絶えの人間に迫り、トドメの処刑を刺す際にはグーンとズームアップ。スラッシャー映画バリの処刑シーンを見せてくれる。

この処刑シーン、ただホラー演出に留まっていない。

実行することで主人公のHPを回復するという機能性も持っているのだ。

処刑でHPが回復するというこの点は、リアルな本作の中で感じられる数少ないゲーム的お約束のひとつだと思う。

操作は複雑!?爽快感よりもホラー性を味わうゲーム?

ココまでの内容から、ビジュアルはさておき、ゲーム的には「POSTAL Redux」的な爽快ゲームを連想したかもしれないが、本作は爽快ではない

爽快ではないひとつの原因が、ビジュアルスピードから来ているように思う。

ビジュアルについてはモノクロ表示なので、移動可能な場所なのかそうでないのかがパッと見で判断できない場合があり、意図通りに動けないケースがあった。これはゲーム的に致命的とまではいえないものの、若干欠点といえるかもしれない。

スピードについては、そもそも移動速度がそこまでスピーディーに作られていない。左シフトキーを押しながら移動することでダッシュできるものの、ダッシュしてもそれほど速いとは言えない。

なので、ガンガン移動して敵を撃ち殺していくという爽快系シューティングのようなプレイ感は味わえないのだ。

加えて敵はなかなかの強さを持っている。イージーでプレイしても、ステージ1で苦戦する人は少なくないだろう。

ただ、見方を変えれば、こうした点も、リアルと捉えることができるように思う。

もし仮に現実でこういう事件を起こすとしたら、たった一人で警察の猛攻を突破することは不可能だ。

なので、実は表面上が似ているからと言って、本作は「POSTAL Redux」を求めてプレイするゲームではない

そうではなく、犯罪を起こす人間が直面する現実を極めてリアルに追体験できるホラーとしてプレイするのがオススメ。

ゲームを通じて、孤独感や重苦しさや息苦しさといった感情を味わえるだろう。

基本情報

タイトル

Hatred(ヘイトレッド)

デベロッパー

Destructive Creations

配信会社

Destructive Creations

対応ハード

PC

価格

Steam

【Hatred】【バイオレンス】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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