試みとしてはおもしろいが、肝心なところがアレな、新形式デジタルコミック。『Imaginary Range』。
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ヒャッハー!KarzZombieだぜ。
iPhoneでは実験的なゲームというのが数多く出されている。
アプリの金額は安いため、ゲームメーカーとしては売上額が低くなりがちだが、一方で、コンシューマゲームほどボリュームやクオリティが圧倒的でなくとも、ヒットするゲームがある。
このため、実験的なゲームを出せる環境にあるワケだ。
さて、今日紹介するのはそんな実験的なゲーム。
『Imaginary Range』!
『Imaginary Range』は、ミニゲームを遊びながら進行するタイプの、デジタルコミックだ。
基本的にはコミックを読み進むが、絵の中に、プレイヤーの操作によって入手可能なアイテムが出現したり、要所要所でミニゲームに切り替わったりする。
ミニゲームの内容はバラエティが多く、絵の中で特定のものを探すというシンプルなものから、味方のヘリを逃がしつつ敵にミサイルをヒットさせるというアクション性を持つものまである。
ただし、あくまでミニゲーム。
ゲーム単体でもハマってしまうほど中毒性が高いミニゲームは存在しない。
現在では多くのゲームがストーリーという要素を持っている。
ストーリーを持つゲームの場合、ストーリーとゲームのバランスが重要だ。
ゲーム単体で十"分おもしろいようなゲームに、下手にストーリーを入れてしまうと、途端にストーリーが邪魔に感じられる。
例えば、「メタルギアソリッド4」や「ファイナルファンタジー13」等を遊んで、ムービーシーンはいいから、とりあえずゲームを遊ばせてほしいと思った人は結構"いるんじゃないだろうか。
これらのゲームを遊んだことがなくとも、例えば任天堂の「スーパーマリオ」で、ステージクリアの度にいちいちストーリーが挿入されたと想像してみてほしい。
結構"うっとおしくないだろうか?
任天堂のゲームはこの点、ストーリーとはゲームを推進させる潤滑油のようなものと割り切っており、ストーリーがゲームの邪魔になることはほとんどない。
一方で、ストーリーが魅力の中心であるゲームに、下手にゲーム要素を足してしまうと、今度はゲーム部分が邪魔に感じられる。
例えばチュンソフトの「かまいたちの夜」のような作品で、途中、敵をアクションで倒さないとストーリーが進まない…という要素を足したとしたらどうだろう?
「ゲームはどうでもいいから、気になっているストーリーの先を見せろ!」…と思うのではないだろうか。
この辺りの話は、ゲームとストーリー、どちらがメインなのか、コンセプトがハッキリしていれば回避できる問題だ。
では、『Imaginary Range』ではどうだろう?
『Imaginary Range』はデジタルコミックなので、この辺ハッキリしている。
ストーリーがメインだ。
だからこそゲームは簡易なミニゲームにとどまっており、ストーリーが邪魔されているといった感じはない。
この辺の作り方──ミニゲームの内容の選定、ボリュームなどは実にうまいと思う。
だが…致命的なのは、肝心のメインの要素であるところのストーリーがサッパリおもしろくねえ!…ということだろう。
とても残念だと思う。
しかし、このゲームシステムは、iPhoneだからこそ受け入れられるであろう、可能性を持ったゲームシステムだと思う。
次回は是非、ストーリーがおもしろい作品で遊んでみたい。
(…だが難点は、通常ストーリーだけで十"分売れるような作品なら、マンガや小説で販売するよね…ということだ)
基本情報
タイトル
Imaginary Range
デベロッパー
SQUARE ENIX Co., LTD.