目目連

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妖怪として知られる目目連

荒れ果てた家の障子に浮かび上がる、無数の目から構成された妖怪。

鳥山石燕の画集『今昔百鬼拾遺』に登場しており、鳥山石燕の創作だとする説もある。

また、最初から無数の目が存在すのではなく、目から目が生み出されることで増えていくという伝承も存在。

新たに生まれた目はまた別の目を生み出し、その繰り返しによって周囲は無数の目で埋まっていく。

やがて最終的には、その光景を見つめるものの目が失われてしまうという。

こうした恐ろしい逸話が伝わる一方で、単なる目でしかないという伝承もある。

この場合、目目連に遭遇した商人は、目玉を持ち帰って眼科医に売り飛ばしてしまったとのこと。

百鬼脱出行の目目連

今回の百鬼脱出行で登場した「目目連」は、伝承とは異なるかたちで恐怖を担う存在だった。

妖怪でなくとも、人は見えない存在に恐怖を覚える。

今回の見えない存在とはつまり、人の心。

他の人からどう見られているのか?もしかして嫌われているのではないか?と疑ってしまう気持ちは、まぎれもなく恐怖だろう。

とりわけ、SNSが当たり前となった現代社会では、他人からどう見られているのか、常に意識することになってしまう。

今回の目目連は、そんな恐怖の化身と言える存在だった。

主人公は部屋に一人で過ごしていたが、心の中では常に誰かの視線に怯え、心の中に響く他人の声に恐怖していたのだ。

もちろん、その恐怖は自分の心がつく出した幻想にすぎない。

しかし、自分の心が作り出した存在だからこそ、自分自身で否定するのも難しい。

どんなに自分で否定したところで、自分自身の心が怖いと思ってしまうのを妨げることはできないのだ。

だが逆に、自分の心が作り出した存在だからこそ、否定できるのも自分自身。

今回の主人公は、過去の思い出をきっかけに、現実は、必ずしも自分の心が作り出した幻想の通りネガティブなものじゃないと気づくことができた。

心の中のイメージと、現実とは違う。

それは時にネガティブなことでもあるが、ポジティブなことでもあるのだ。

登場作品

「百鬼脱出行」目目連が見ている

【妖怪】

Creator

田中一広

五感を刺激する異界体験クリエイター。 企画/シナリオ/グラフィック/作曲/プログラムまで一人でこなし、アナログとデジタルの垣根を飛び越え独自の世界観をもった「異界体験」を作り上げるゲーム作家。 五感をゆさぶる異界へと案内します。

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