百物語
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Hさんが田舎の親戚の家に泊まった時のこと。
田舎は人々の距離が近い。
だからか、その日は親戚のみならず、近所の子らも集まって、皆で怪談話をすることにしたのだという。
ただ、怖い話が苦手な母親は参加しなかった。
誰が言い出したのか、普通に怪談話をするだけでは物足りないということになり、百物語形式で行うことに。
つまり、ろうそくに火をつけ、怪談をひとつ話すごとに火を消していくというかたち。
とはいえ、さすがにろうそくの本数が足りない。
そこで、10本のろうそくを使い、10本分の火を消したら再び10本に火をつける…という形で行うことにした。
Hさん曰く、どの話も聞いたことがない、とても怖いものばかりだったという。
だから、あっという間に終わってしまったそうだ。
その翌日。Hさんは印象的だったいくつかの話を、父母へと伝えた。
怖い話が苦手というだけあって、母はひどい怖がりようだったという。
しかし、怖がっているのはその内容ではなかった、
母がいうには、昨夜に親戚や近所の子が集まることはなかったのだという。
Hさんは驚き、親戚にも確認したが母の言うとおりだった。
昨夜はHさんも含めて、早い時刻に床へ着いた。
集まりなどなかったし、百物語をすることもなかったのだという。