メールの返事

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Mさんが高校卒業記念に、友達皆で遊びに行こうとした日のこと。

Mさん一人だけ、急に腹痛になってしまったのだという。

いつも丈夫で体調が悪くなることなどないMさん、この時はわが身の不運を嘆いたそうだ。

しかし嘆いたところで腹痛はひどくなるばかり。

遊びの時間までに多少よくなるのであれば、無理をしてでも行こうと思っていた。

だが、そうこうしている内に待ち合わせ時刻の数分前になってしまった。

さすがにあきらめよう…。

そう思ったMさん、断りのメールを打ったのだという。

すると、「なんで来なかった」という返事が返ってきた。

友だちもかなり楽しみにしていたし、ドタキャンだから怒らせてしまったのかもしれない。

ただそれにしても、体調不良なんだから仕方ないじゃないか…そう思いながらも、痛みが耐えがたく、Mさんは眠ってしまった。

Mさんが起きたのは夕方、電話の音で目が覚めたそうだ。

かけてきたのは、Mさんの母親だった。

「あんた、あんたは大丈夫なの!?」

電話に出るや否や叫ぶように告げた母親に、Mさんは若干引きながら「な…何があったの?」と聞き返した。

すると、Mさんの友だちが交通事故にあったのだという。

そのニュースを見た母親が、Mさんも一緒にいたのかと心配し、職場から電話をかけてきたのだ。

交通事故は交差点にトラックが突っ込むというもので、その場にいた人は全員即死だったという。

事故の発生日時は、ちょうど待ち合わせ時刻だったそうだ。

ただ…時刻を聞いてMさんは違和感を覚えた。

メールを受け取ったのは、待ち合わせ時刻の15分後だったからだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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