蜘蛛【ぞくっ、とする怖い話】
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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
Sさんが小学生だったころの話だ。
小学校の夏休み、Sさんが家族で田舎に帰った時のこと。
Sさんはお父さんに昆虫採集へ連れてってもらった。
雑木林を歩むSさん。
都会暮らしのためそれまでは図鑑でしか見たことがなかった昆虫が、そこここにいる。
はじめて見る昆虫に興奮していると、何かが顔にかかった。
「クモの巣があるなぁ」と近寄ってきた父親が、Sさんを見て表情を変えた。
それは雲の巣ではなく、血と泥にまみれた髪の束だったという。