ラジオ【ぞくっ、とする怖い話】

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Sさんが中学3年生だった時の夏休み。高校受験を控え、夜遅くまで勉強していたそうだ。

Sさんは勉強をする際、好んでラジオを聴いていた。

特に深夜にはおもしろい番組があったので、休憩がてら勉強の手を緩め、ラジオを聴いていたそうだ。

その日もいつも通り、お気に入りのラジオ番組を聴いていたという。

ラジオを聴きながらふと時計を見ると、午前1時30分。

Sさんは夜食に何かお菓子でも食べようかな、と立ち上がろうとした。

その次の瞬間……

ラジオの音が、小さくなっていった。

まるでだれかが音量を調節したように感じたという。

ラジオを手にとって確認したが、音量は正常。

コンセントに繋いで聴いていたので、電池不足というのも考えられない。

どうしたんだろう?

……そう思ってSさんは、ラジオの音に耳をすました。

すると……聞こえてきたのはいつものラジオ番組ではない……。

洞窟の中に風が響いているような……ごぉぉぉぉ……ごぉぉぉぉ……という音。

獣がうなっているようにも聞こえる。

その中で、誰かが、何か話していた。

しかし、小さな声で聞き取れない。Sさんはますます耳をすました。

「●●●……こい……!」

声は、そう言っている。●●●の部分は聞き取れない。

ただ、誰かを呼んでいるようだ。

●●●の部分は誰かの名前なのだろう。

……でも…一体誰の…?

Sさんはさらに注意深く声を聞こうとして……やめた。

どうしてかわからないが、その名前を探ってはいけない……そう感じたからだ。

Sさんは、ラジオのスイッチを切ってコンセントから抜き、押入れの奥にしまった。

それ以来、怖くてラジオを聴くことがなくなったそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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