気のせい【ぞくっ、とする怖い話】

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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。

今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。

Kさんが旅行に行った夜のこと。

旅行の前日、夜遅くまで残業してしまい、睡眠時間が足りなかったせいか、いつも旅行に出た時よりも疲れがひどかったという。

そのためか、ホテルのベッドで金縛り/にあった。

ただ、Kさんは恐怖を感じなかったという。

Kさんは、金縛りは疲れから来るものと考える人間だったし、これまでの旅行でも何度か金縛りにあったことがあるのだそうだ。

ただ、この日の金縛りはいつもと違った。

時間と共に、体がどんどん重くなっていくような感覚がある。

放っておくと、布団の中に沈み込んでしまいそうだ。

泥酔した時の感覚に似ていて、気分も異様に悪い。吐き気がする。

いつしかKさんは、「助けて」と心の中で何度も繰り返していたという。

すると……、どれくらい時間が経過したくらいか知らないが、Kさんの体がふっと軽くなった。

これでようやく安心して眠れる……Kさんはそう思ったという。

この話、Kさんが恐怖を感じたのはここまでの話ではない。

Kさんが安心した次の瞬間のこと。

耳元で小さく声がしたそうだ。

その声はKさんに、「お前に助けが来ることはない」と告げたという。

Kさんはその瞬間、全身が震えたように感じた。

ただ、それが本当にあったことなのか、夢なのかわからないという。

「気のせいかもしれないと思っています。その方が精神的に楽なんで……」とKさんは言っていた。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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