葬儀【ぞくっ、とする怖い話】

[投稿日:

実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。

今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。

Bさんが学校の帰りに遭遇した出来事だ。

友達と2人で帰り道を歩いていると、電柱に見慣れないポスターが貼られている。

見ると、葬儀の案内だ。

名字は、Bさんと同じ。

同じ名字の人が近所にいるんだな……なんて思いつつ、なんとなく興味を引かれてじっくり見ると、なんと名前までBさんのものだった。

つまり、同姓同名。

もちろん、いたずらということはないだろうが、なんとなくBさんは気持ちが悪いと思った。

ポスターには、矢印が書かれている。斎場への道順だろう。

偶然にもそれは、Bさんの帰り道と同じ方向だった。

Bさんがじっとポスターを見つめていると、「何してるの?帰らないの?」という友だちの声。

その声にBさんはあいまいに頷き、帰り道を歩き出した。

すると、しばらく歩いたところにまたポスターが書かれていた。

またBさんの名前が書かれており、矢印が示すのはBさんの帰り道と同じ方向だ。

さらに歩くと、再び同じポスターがある。

やはり矢印は、Bさんの帰り道と同じ方向だ。

Bさんは、「気持ち悪い」程度だった感覚が、恐怖に変わっていくのを感じた。

そもそも、Bさんの家の方向に、斎場はない。

Bさんは、恐怖のあまり駆けだしていた。

すると、後ろからいきなり腕を捕まれた。

「ひぃっ!」と悲鳴を上げながら振り返るBさん。

そこにいたのは……友達だった。

車通りの激しい車道に飛び出そうとしていたBさんを、友達が必死で止めていたのだそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

この記事の関連記事

メールの返事

[Posted:]

「見えているのか」

[Posted:]

赤い布団

[Posted:]

百物語

[Posted:]

上に戻る