葬儀【ぞくっ、とする怖い話】
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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
Bさんが学校の帰りに遭遇した出来事だ。
友達と2人で帰り道を歩いていると、電柱に見慣れないポスターが貼られている。
見ると、葬儀の案内だ。
名字は、Bさんと同じ。
同じ名字の人が近所にいるんだな……なんて思いつつ、なんとなく興味を引かれてじっくり見ると、なんと名前までBさんのものだった。
つまり、同姓同名。
もちろん、いたずらということはないだろうが、なんとなくBさんは気持ちが悪いと思った。
ポスターには、矢印が書かれている。斎場への道順だろう。
偶然にもそれは、Bさんの帰り道と同じ方向だった。
Bさんがじっとポスターを見つめていると、「何してるの?帰らないの?」という友だちの声。
その声にBさんはあいまいに頷き、帰り道を歩き出した。
すると、しばらく歩いたところにまたポスターが書かれていた。
またBさんの名前が書かれており、矢印が示すのはBさんの帰り道と同じ方向だ。
さらに歩くと、再び同じポスターがある。
やはり矢印は、Bさんの帰り道と同じ方向だ。
Bさんは、「気持ち悪い」程度だった感覚が、恐怖に変わっていくのを感じた。
そもそも、Bさんの家の方向に、斎場はない。
Bさんは、恐怖のあまり駆けだしていた。
すると、後ろからいきなり腕を捕まれた。
「ひぃっ!」と悲鳴を上げながら振り返るBさん。
そこにいたのは……友達だった。
車通りの激しい車道に飛び出そうとしていたBさんを、友達が必死で止めていたのだそうだ。