壁紙【ぞくっ、とする怖い話】

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自分の使っているモノは自分だけのお気に入りにカスタマイズしたい。できればそれを自己PRにつなげたい……。

誰にとっても、それは自然な心の動きだろう。

だから、スマートフォンの壁紙を何にするかは相当悩む……。

……Wさんもそうだった。

Wさんはゆるキャラやサンリオキャラのようなカワいいキャラクターが大好き。

なので、スマホのストラップもLINEのスタンプもカワイイ系。もちろんスマホの壁紙もカワイイ系だった。

しかし、ただカワイイだけじゃダメとのこと。

他の友達がまだ見つけてないレアなキャラクターであることが条件。

また、ストレートにカワイイのはちょっとダサいという。どことなくマヌケさがある、愛きょうのある感じがいいのだそうだ。

また、キモさのバランスも重要らしい。かわいさの中にちょっとキモさが入っているのがベスト。

ただ、人に見せた時に本気でキモいと言われるようなモノはアウトだという。さらに、2週間も同じ壁紙を使っていると飽きるそうだ。

だから、かなり気合を入れて壁紙を探している。そして、「これは!」という壁紙が見つかったら友達に見せて自慢するのだという。

その時も「これは!」という壁紙が見つかった直後だった。

遠い親戚に不幸があり、家族とともに実家に帰った時のこと。Wさんは親戚の子ども達に壁紙を自慢げに見せたそうだ。

ふだんつき合っている友達はみな、「かわいい!」と褒めてくれた、自慢の一品だったらしい。

しかし、返ってきた反応は「…気持ち悪いよ…」というもの。

Wさんはその反応に腹を立て、詰め寄った。「どこがかわいくないの!田舎モンだからセンス悪いんじゃない?」

すると、親戚の子ども達は「こんなの、かわいいっていうのがおかしいよ…」という。

Wさんは子ども達に渡していたスマホを奪うように取り返すと、壁紙を見た。

そこには、鬱蒼とした木々に囲まれた、墓地が映っていた。

その墓地に重なるように、青白い顔が映っている……。

全身に鳥肌が立つような、おぞましい画像だったという。

「何これ!」

Wさんはいそいでスマホの設定を確認した。しかし、壁紙の設定に異常はない。

というか……奇妙なことに、スマホの中にそんな墓地の画像等保存されていない。

Wさんは念の為スマホを再起動した。

すると……。

自慢のキュートな壁紙が表示された。Wさんが自慢しようと思っていた元通りの画像だ。

ただ、Wさんはそれ以上、親戚の子達にスマホの話をする気にはなれなかったという。

Wさんには、あやしげなメールをクリックしたこと記憶も、最近新しいアプリをインストールした記憶もなかった。

何故そんな画像が表示されたのか、今でも全くわからないという……。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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