ぬくもり【ぞくっ、とする怖い話】
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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
Nさんがキャンプ場で肝試しをした時のこと。
友達と2人でコースを進んで行くと、お化け担当の友達が、突然目の前に現れた。
お化け役の友だちがどこかに潜んでいると知ってはいたが、暗く、静かな雰囲気もあってNさんは自分でも驚くほどショックを受け、叫び声を上げたそうだ。
叫ぶだけでなく、気づいたころには友達の手を握ったままその場を駆け出していたという。
しかし、駆けだして数秒ほど経ったとき、後ろから大きな声が響いた。
「ねえ、ちょっと……どこ行くの!?」
Nさんが振り返ると、友達2人……一緒に来た友達と、お化け担当の友だちが、後ろからNさんを見つめていた。
Nさんの傍には、誰もいない。
しかし、Nさんの手には、誰かの手を握ったぬくもりが、しっかり残っていたという。