お経【ぞくっ、とする怖い話】
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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。
今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。
Nさんが部活の合宿をした時のこと。
張り切りすぎてしまったためか、Nさんは体調を崩し、寝込んでしまった。
しばらく深い眠りについていたようだが、やがてNさんは自分の眠りが浅くなっていることに気づいた。
物音を感じる。
Nさんはうっすらと目を開けた。
すると、目の前に誰かがいる。
部活のメンバーじゃない。
着物を着た老婆。
老婆が座って、Nさんのことをじっと見つめている。
この老婆は医者か看護士で、看護してくれているんだろうか……。
Nさんは一瞬、そう考えたが、即座にその考えを振り払った。
Nさんのことを見つめる老婆の目から、「怒り」の感情を感じたからだ。
怖くなったNさんは目を開けていられず、思い切り目をつぶった。
すると、Nさんの体が揺すられ始めた。
物凄い力で強引に揺すられ、Nさんは思わず目を開けた。
するとそこには……心配そうな顔でNさんを見る部活のメンバーたちの姿。
話を聞いたところ、Nさんは大きな声で叫ぶようにお経を唱えていたそうだ。