一緒に遊んだ【ぞくっ、とする怖い話】

[投稿日:

Rさんが子どものころの話。Rさんは、山形の中でもかなり田舎と言われる場所で育ったという。

幼いころのRさんは、Aちゃん、Yちゃん、Kちゃんという4人でいつも遊んでいた。

Aちゃんは同じ小学校に通う友達。YちゃんとKちゃんは違う小学校に通っていたのだが、Rさんの親戚だったため一緒に遊んでいた。

いつも4人は仲がよかった……そう、記憶している。ただ、4人のうちAちゃんにはちょっと不思議なところがあったそうだ。

いつも、人形の話ばかりをしてくる。

いわく…、その人形は育つのが遅いからかわいくない…。

その人形は無口だからかわいくない…。

その人形の髪型がかわいくない…。

かわいくないという話ばかりするAちゃんに、ある日Rさんはこうたずねた。

「どうしてそんなかわいくない人形を、いつまでも持ってるの?」

……すると、Aちゃんはこう言ったそうだ。

「だから、捨てられてん…

「捨てた」ではなく「捨てられた」という受身形なのが、子ども心にひっかかったそうだ。

しかし、そのことを深く追求した記憶はRさんにない。そもそも、Aちゃんについての思い出はそれ以上覚えてないのだという。

大人になってから、Rさんは不意にAちゃんのことを思い出すことがあったそうだ。

「そういえば、Aちゃんって今、どうしているかな…」

Rさんは、一緒に遊んでいた内の一人……親戚のYさんに電話をしてみた。Yさんはまだ山形に住んでいるので、何か知っているかもしれない……そう思ったのだ。

電話に出たYさんは、こう告げた。

「え?Aちゃん…誰それ…」

「ほら、小学生のころ、いつも4人で遊んでたでしょ…?」

「はぁ!? 小学生のころはいつも3人で遊んでたでしょ? 何言ってるの…」

驚いたRさんは電話を切り、押入れを漁って小学校の卒業アルバムを取り出した。

そこには、Aという名の生徒はいなかったそうだ。

「でも、途中で転校したのかもしれないし、Yさんの記憶違いってこともあると思うんです」…とRさんは結んでいる。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

この記事の関連記事

メールの返事

[Posted:]

「見えているのか」

[Posted:]

赤い布団

[Posted:]

百物語

[Posted:]

上に戻る