できもの【ぞくっ、とする怖い話】
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Kさんが子どものころ。
幼稚園を卒業したかしていないかくらいのことだ。
その日Kさんは近所の友達と一緒に、林で遊んでいた。そのころKさんの住んでいた場所は自然が多く、子どもの足で遊びに行ける場所にもいくつか林があったのだ。
Kさん達がよく利用していた林は、地面の起伏の大きい林。
変身ヒーローのマネをして遊んでいたので、ジャンプできるような起伏が必要だった。ヒーロー名を名乗って高いところからジャンプする……皆それがカッコイイと思っていたのだ。
その日もKさん達はヒーローごっこをして遊んでいたのだが、しばらくすると飽きて鬼ごっこに切り替わった。
友達の一人が鬼となったので、Kさんは全速力で逃げ回ったそうだ。
すると、足元に何かがぶつかった。
見ると、丸い漬物石のような石が4つほど積み重なり、石塔のようになっている。
ただKさんがぶつかったせいで、一番上の石が崩れて落下していた。
直さなきゃ…Kさんはそう思って石塔に近づいた。しかし次の瞬間、Kさんの目はまったく別のものにくぎ付けとなった。
それは……石塔に供えられていたお椀。中には五円玉や十円玉がぎっしりと入っていた。
どう見てもお供え以外のなにものでもないが、当時のKさんはそんなことに思い至らなかったという。
罰あたりなことに、Kさんはそのお金を全部ポケットに入れた。そして友達を呼び集めて駄菓子屋に出かけ、友達皆にお菓子を振舞ったそうだ。
異変があったのはその夜のこと。
足が無性に痒くなったという。ちょうど、石塔にぶつかった部分だ。ぼりぼりと力強くかきむしっても、虫さされの薬をつけても治らない。とにかくかゆかった。
とはいえ、何日か過ぎれば治るだろう…Kさんはそう軽く考えていたが、一週間経っても治らなかった。かゆい部分をみると、虫さされのような丸くぷっくりとした腫れが無数にぼつぼつぼつぼつぼつぼつぼつ…とできていたという。
母親に見せると、「水虫かアトピーかもしれないから、病院に行こう」と言われ、皮膚科に行くことに。
…ところが、医者でもはっきりした原因がわからなかった。
とりあえずということで一般的な消毒薬とかゆみ止めを処方されたが、一週間ほど使っても一向に治る気配がない…。
さすがにKさんも怖くなり、石塔を倒したこと、そして石塔にお供えされていたお金のことを母親へと告げた。
するとこっぴどく叱られ、石塔を戻してくるよう言われたそうだ。小銭も渡され、お供えし直してくるよう告げられたという。
Kさんは言われた通り石塔のあった場所に向かい、石塔を元に戻して小銭をお椀の中にお供えした。
すると翌日にはかゆみが治まり、ぼつぼつと腫れていた皮膚もキレイになっていたという。