ごめんなさい【ぞくっ、とする怖い話】
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Wさんが、子どもを堕ろした時のこと。
手術後、しばらくは子宮の痛みと出血が続いていたが、夜には治まっていた。ただ、堕胎してしまったという罪の意識があり、なかなか寝付けなかったという。それでも、手術で体力が落ちていることもあってか、0時前には眠りに入った。しかし…
…深夜、突然お腹の…子宮のあたりがうずき出し、Wさんは目を覚ました。急いで鎮痛剤を飲もうとしたが、体が動かない。金縛り/にでもあったように、まったく身動きができないのだ。ただ…まぶただけはなんとか動かせた。
痛みに耐えながら暗い部屋をじっと見ていると、どうも宙に何かが浮いているように見える。両手を合わせたくらいのサイズの……肉の塊…。
…胎児だ。
Wさんが寝ているその上で、胎児が浮いているのだ。Wさんは瞬時にその胎児が、その日堕ろしたWさんの子どもだと認識したという。
胎児は、徐々に徐々にWさんの方へと近づいてくる。再びWさんに宿ろうとしているかのようだ。
いつしかWさんは心の中で、「ごめんなさいごめんなさい」と謝罪を繰り返していた。すると…だんだんと胎児の姿は消えて行き…やがて完全に消えた。
消える瞬間、Wさんの耳に子どもの声が聞こえた…。
…その声は、「ごめんなさい…」と言っていたそうだ。
胎児が消えた瞬間、Wさんの子宮の痛みは完全に消え失せたという。
Wさんは涙が止められなかった。事情があったとはいえ、自分の判断で子どもの命を奪ったこと。そんな子どもに対して「ごめんなさい」としか言えなかったこと。なにより、子どもに「ごめんなさい」と言わせてしまったこと。
すべてが、悲しかったという。
それ以来、Wさんは子どもの供養を毎日欠かしていないそうだ。