無事【ぞくっ、とする怖い話】
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これまでも登場している、不思議なことに遭遇しやすいというTさんの話。
彼がスキーに行ったときのことだ。
スキーに発つその日、都心でも相当冷え込み、記録的な大雪となった。
スキーには遠距離バスで向かうことにしたそうだが、無事に到着できるかどうか相当心配だったという。
だが、そんな心配をよそにバスはスムーズにスキー場へと向かって行った。
このまま無事着くといいな……そう思っていると、Tさんの身に異変が起こった。
Tさんのお腹が、痛くなってきたのだ。
しかし、バスにトイレはついていない。また、途中休憩する予定はない。だが、お腹はどんどん痛くなってくる。まるで、スキー場に行くなとでも言わんばかりに。
Tさんはたまらず、運転手に頼みこみ、他の乗客にも謝り、次のパーキングに立ち寄ってもらうことにした…。
そして…パーキングでトイレを済ますと、ウソのように腹痛が治まったという。
ただ、今度はバスに悪影響が現れた。渋滞に巻き込まれ、まったく進めなくなってしまったのだという。
これはTさんが後から知った話だが、その時、バスの位置より数キロ先の地点で事故が発生していたのだという。凍結した路面でスリップが置き、車数台が巻き込まれる事故が発生していた。
…事故の発生時刻と発生場所は、もしパーキングに立ち寄っていなかったら、Tさんの乗ったバスがちょうど通っていただろう時刻、場所だったという…。
「まあ、無事に済んだんだから怖い話じゃあないんですけどね…」そう、Tさんは語っていた。