さかさ【ぞくっ、とする怖い話】
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Uさんが友達と一緒に肝試しに行った時のこと。
場所は、友達の家のすぐ近所にあるマンション。
人が住んでおらず、その朽ち果てた状況から心霊スポットとして有名な場所だった。
手入れもされておらず、好き放題生い茂った植物。黒ずんで古びた壁…。
実際に行ってみると、そのおどろおどろしさから、不安を感じずにはいられない場所だった。
Uさんと友達が気になったのが、黒ずんだ壁。友達が、黒ずんだ部分を見て、人の形に見えると言い出したのだ。
ところが何度見返してもUさんには人の形になど見えない。
「気のせいじゃない…?」そう伝えると、「そんなことないよ!」友達のあまりの剣幕にUさんはびっくりしたという。
驚いているUさんの様子を見て、友達は謝ってきたものの、表情はすぐれない。何か、よくない感じがするのだという。
「体調が悪いのかもしれないから、ここで帰ろう?」そうUさんが言ったものの、「Uには見えないんだったら、気のせいだと思う。また来るのも手間だし、もう少し探索しよう」とのこと。
しかし…探索を続けるうちにどんどん友達の容体が悪くなっていき…やがてバタリと倒れてしまった。
「大丈夫…?」声をかけようとしてかがみ込むUさん。その瞬間のことだった。
かがみこもうとして首を下げた際、自分の脇の下ごしに…つまり、上下逆に…黒い染みが目に入った。
それは…マンションの壁に叩きつけられた…人の影に見えたという…。
瞬間、全身に鳥肌の立ったUさんは、友達を起こすとすぐさま自宅に引き返した。
それから、その心霊スポットに近寄ったことは一度もないそうだ。