迷子
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Mさんが弟と一緒に山に遊びに行った時のこと。
弟と手をつないで一緒に歩いていたはずだが、途中で弟とはぐれてしまったという。
しばらく弟を探していると携帯電話が鳴った。
携帯電話から聞こえたのは、年老いた声。
「忘れ物を預かってます…来て下さい…」
Mさんは怖かったが、電話の案内に従い、山の奥に戻っていったという。
すると、「そこです」と声が告げた。
そこには…木からブラ下がる、弟の姿があったという。
幸い弟は寝ているだけでけがもなく、無事だったそうだ。
弟を木から下ろしたMさんは、再び電話に耳を当てたが、通話は切れていた。
Mさんは、その声は悪い存在ではなく、神様のような、そういう神聖な存在だと感じたという。
しかし、それ以来、Mさんも弟も、その山には近づかなかった。
Mさんによると、「なんとなく、この山は神聖な場所なので、近づくなと言われているような気がして」…だそうだ。