迷子

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Mさんが弟と一緒に山に遊びに行った時のこと。

弟と手をつないで一緒に歩いていたはずだが、途中で弟とはぐれてしまったという。

しばらく弟を探していると携帯電話が鳴った。

携帯電話から聞こえたのは、年老いた声。

「忘れ物を預かってます…来て下さい…」

Mさんは怖かったが、電話の案内に従い、山の奥に戻っていったという。

すると、「そこです」と声が告げた。

そこには…木からブラ下がる、弟の姿があったという。

幸い弟は寝ているだけでけがもなく、無事だったそうだ。

弟を木から下ろしたMさんは、再び電話に耳を当てたが、通話は切れていた。

Mさんは、その声は悪い存在ではなく、神様のような、そういう神聖な存在だと感じたという。

しかし、それ以来、Mさんも弟も、その山には近づかなかった。

Mさんによると、「なんとなく、この山は神聖な場所なので、近づくなと言われているような気がして」…だそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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