第二夜-狸の館の夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第一章・狸親父
今回は、ある小説家の身に起きた事件を話そう。
その小説家、名前を田貫林 寛太(たぬきばやし かんた)という。
名前に「たぬき」という音が入っているからか、狸に絡んだものを集めるのが好きな作家でね。
狸好きが高じて執筆した小説「化探偵タヌキと謎解きの冒険」が新人賞を受賞してデビュー。
幸運なことにデビュー作がヒットし、映画化され、当然のように小説はシリーズ化された。
「化探偵タヌキ」シリーズは、どの作品にも必ず、暗号を使ったトリックが登場する。
「タヌキ」にからめて、メッセージから「た」を抜くと正解が分かるという暗号で…、ミステリーファンからは「ダジャレかよ!」って突っ込まれていたけど、一般層には受け入れられていた。
そんな調子で…とんとん拍子で人気作家になっていったんだ。
第二章・狸の館
ヒット作家となった田貫林 寛太は、東京の下町に大きな家を建てた。
その家は、「狸御殿」なんて呼ばれていたよ。
彼は「狸御殿」に大量の狸グッズを集め…、さらには毎週のように業界人を呼び、豪華なパーティを開催した。
あまりに豪華すぎて、業界では「まるで狸に化かされているようだ」なんて言われていたよ。
…だからこそ…。
…嫉妬もたっぷりと買っていたと思う…。
第三章・一文字のダイイングメッセージ
あるパーティーの晩のこと、彼は死体で発見された。
胸をアイスピックで刺されていて、他殺であることは明らか。
しかも、いかにもミステリー作家らしいことに、現場にはダイイングメッセージが残されていた。
だから、スピード解決するだろうと思われたんだけど…。
…生憎なことに、そのダイイングメッセージが警察を悩ませることになった。
何せ、ダイイングメッセージには、たった一文字しか書いてなかったんだ。
そこには、「ば」とだけ、あった。
警察は、田貫林 寛太の友人で、作家の一人「馬場 譲二(ばば じょうじ)」のことじゃないかと考えた。
ただ、これまた生憎なことに、「馬場 譲二(ばば じょうじ)」はその夜のパーティには参加していない。アリバイがあったんだ。
ちょうど、狸御殿…田貫林宅の近くにあるスナックで、ママと二人でしっぽり飲んでた…っていうアリバイがね…。
読者への挑戦
さあ…犯人は誰だろう。
次の中から、正しい回答を当ててほしい。
1)作家・馬場 譲二(ばば じょうじ)
2)編集者・田端 光彦(たばた みつひこ)
3)大御所作家・桜庭 一郎(さくらば いちろう)
4)出版社社員・鳩羽 美和子(はとば みわこ)
答えを明かすのは一週間後…。
…一週間の間、知恵を絞って答えを考えてほしい。
答えを明かすのは一週間後…正しさが示されるのは一週間後の夜だよ…。