第三夜完結編-獣たちが歌う夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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最終章・真相
みっつめの殺人事件の被害者となったのは…「樺鳶 海月/(かばとび みづき)」さ。
この連続殺人事件の被害者は、わらべ唄の歌詞に書かれたある法則性によって選ばれている。
それは、名前に含まれる動物の数なんだ。
ひとつめの殺人事件の被害者…十字架に磔にされた「田原 虎男(たはら とらお)」。
彼は名前に「虎」という文字を含んでいる。動物を示す文字は1つ。
これは、「ひとつ命が失われ生きていたのは磔(はりつけ)に」という歌詞に対応する。
ふたつめの殺人事件の被害者…十字架に磔にされた「犬山 狐太郎(いぬやま こたろう)」。
彼は名前に「犬」と「狐」という文字を含んでいる。動物を示す文字は2つ。
これは、「ふたつ命が消えていき生きていたのは獄門(ごくもん)に」という歌詞に対応する。
続いて死体になったのは、犬山 狐太郎(いぬやま こたろう)という男性。
そして…「樺鳶 海月(かばとび みづき)」は、文字こそ違えど、「カバ」「トビ」、「クラゲ(=海月)」という3匹の動物を名前に含んでいる。
これが、「みっつ命が落ちていき生きていたのは八つ裂きに」という歌詞に呼応するんだ。
だから、樺鳶 海月の死体はバラバラの状態で発見された…。
そう…この殺人を防ぐことはできなかった。
なぜなら、犯人はけもの村の住民全体だったからなんだ。
ボクは、殺人事件に、村は大騒ぎになったと話した。
もともとは閑散とした村だったんだけど、あちこちでお祈りをしたり、お供え物をしたり、神社で護摩焚きをしたり…なんて、まるで祭りのような様相だった…と。
けどこれは逆なんだ。
これこそが、けもの村のお祭り。
1年に1度、名前にけものの名を持つ人間3人を選び、けものの神への生贄として捧げる…「獣蝕会(けものばみえ)」と呼ばれるお祭りなんだよ…。
ボクはこの事件について何もできなかった…。
ちなみにこの村はその後、限界集落となって崩壊したよ。
ただでさえ少ない人口を、毎年減らしているんだから当然といえば当然の流れだね。
この事件…、ボクが経験した事件としては、最も後味の悪いもののひとつさ。
…さて…、もうすぐ夜が明ける…。ボクの時間はここまで。また次回、お会いしよう。
2020年6月11日 お詫び
出題編において、登場人物である田原 虎男(たはら とらお)の名前を、当初田原 虎蔵(たはら とらぞう)としていましたが、この形だと謎の真相が破綻してしまうため、名称を変更しました。
最初に読まれた方には正しく推理することが難しい状態になっており、申し訳ありませんでした。