第四夜-ハゲタカが落ちた夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第一章・ハゲタカが舞う
ハゲタカという鳥は死肉を喰らう…なんて言われるけど、実際にはハゲタカなんて鳥はいない。
…ハゲワシってのはいて、死肉を喰らうんだけどね。つまり、言葉だけの存在さ。
ただ、ハゲタカっていうあだ名をつけられる人間ってのは、ちょくちょくいる。
これから話す事件に関わる人物…鷹村 雄司(たかむら ゆうじ)も、ハゲタカというあだ名を持っていた人物だ。
彼は、高利貸しを営んでいてね。
お金を貸した人間をあの手この手で追い込み、破綻させ、その財産をいただく…というまあ、とてもじゃないけど褒められる人間じゃなかった。
だからこそハゲタカなんて名前を付けられたんだろうね。
ただ、そこまで血も涙もなく徹底してビジネスに取り組んでいたからこそ、彼は財を成すことに成功した。
ハゲタカは、大空を自由に舞っていたワケさ。
第二章・ハゲタカの天敵
大空を舞い、まさしくこの世の頂点を謳歌するハゲタカ…。けれど、彼には天敵がいた。
その天敵っていうのは、息子さ。
ハゲタカ…鷹村 雄司(たかむら ゆうじ)は、息子である鷹村 司郎(たかむら しろう)を自分の後継者に育てようとした。
ただ高利貸しという職業を継ぐだけじゃなく、追い込みや財産獲得のテクニックも、司郎に習得させようとしていたんだ。
けど、司郎は反発した。彼は父親に似ず…いや、それどころか、真逆。人権派の弁護士になったんだ。
司郎はハゲタカに騙された人たちの立場に立ち、ハゲタカを訴えた。
後継者として育てるハズだった息子は、ハゲタカの天敵に育ってしまったわけだ。
第三章・ハゲタカが落ちる
そんなある日のこと…。
突如、ハゲタカが自殺した。
彼は、自分の日記を切り取る形で、遺書を残していた。
ただ、切り取る際に上手く切れなかったのか、その遺書は、12枚のバラバラの紙片になっていた。
それぞれの紙片の切れ目は、どうにも組み合わない。
ただ、警察は次のように文章を組み立てた。
「」(かぎかっこ)で囲まれているのが、一つの紙片に書かれた文章だと思って欲しい。
1)「私は決心した。もうこれしかない」
2)「殺すのだ」
3)「自分を」
4)「もう限界だ。我慢しようにも、我慢ならない」
5)「何故息子を…、司郎を、あんな人間に育ててしまったのか…」
6)「これは私自身が犯した過ちだ」
7)「だから、これしか方法がない。過ちを正すしかないのだ」
8)「だだ、私を悩ませるのはこれからのことだ」
9)「こんな行動を行って、世間は…いや、死んだ沙織(さおり)は、許してくれるだろうか」
10)「司郎を」
11)「…いや、だがこれしか方法はないんだ。悩んでいるヒマはない。もう実行するしかない」
さて…警察が並べたこの紙片、実は間違っている。
読者への挑戦
さあ…今回はこの紙片の正しい並びを考えて欲しい。
答えを明かすのは一週間後…。
…一週間の間、知恵を絞って答えを考えてほしい。
答えを明かすのは一週間後…正しさが示されるのは一週間後の夜だよ…。