第七夜-人魚の声が響く夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第一章・声を失った人魚
「人魚姫」という物語にも書かれているけど、人魚というのは歌がことのほか上手い。
船の乗組員たちが魅入られてしまうほどに。
そんな「人魚」と例えらるほどの演奏技術をもった、一人のピアニストがいた。
名前は、海野 愛名(うみの まな)。
彼女は世界的なピアニストとして活躍していた。誰もが彼女の演奏に聞きほれた。
しかし…ある時から、一切の演奏ができなくなった。
まるで魔法使いが人魚姫の歌声を奪ってしまったように。
ただ、彼女から演奏技術を奪ったのは魔法使いじゃない。SNSさ。
世界中の誰もが聞きほれるような演奏だったけど…、中にはくさすものもいた。
些細な欠点をあげつらい、時には演奏技術とは一切関係のない、外見を罵ったんだ。
彼女は精神的に落ちていき…やがてピアノを弾くことができなくなってしまった…。
第二章・王子不在
海野 愛名は、女性のパートナーと同棲生活をしていた。
2人での生活はとても順風満帆だった…んだけど、それは愛名がピアニストを続けている間の話。
愛名がピアニストを辞めて以来、歯車がゆっくりと狂っていった。
愛名のパートナー、Elsa Edward(エルザ・エドワード)という女性は、愛名の演奏能力に魅力を感じて交際していた。
…もちろん、演奏能力「だけ」に魅力を感じていたわけじゃないだろう。けど、それこそが魅力の中心だったんだ。
だから、愛名がピアノを弾けなくなって以来、演奏能力を復活させようと躍起になった。
けど、Elsaのそんな態度は愛名にとってプレッシャー以外の何物でもない。
やがて2人の間には口論が絶えなくなり…みるみるうちに2人は互いを疎ましく感じるようになったんだ。
第三章・魔法使い不在
人魚姫はその歌声と引き換えに、人間としてふるまえる「足」を手に入れたよね。
けど、演奏能力を失った愛名が、引き換えに獲得できたものなんて何もなかった。
彼女が演奏能力を失ったため、マネージャーもまた、見放そうとしていたんだ。
いや…それよりひどいかもしれない。
彼女のマネージャー、土井美穂(どい みほ)という女性もまた、愛名の演奏能力にほれ込んでマネージャーに志願した人物だった。
だからこそ、本来なら支えになってやるべきところだったろう。
しかし、土井美穂は、演奏能力を失った愛名に失望し、強くなじった。
それが原因で愛名と土井美穂は揉めに揉め…最終的に2人の関係は破綻。マネージャー契約は打ち切られた。
第四章・原作通りの悲劇
そんな折…海野 愛名が死体として発見された。
この話、結末が悲劇…という点だけは、「人魚姫」と同様だね。
でも、現実はお話と違って、悲劇で幕が下りるわけじゃない。犯人を捜さなくては。
警察が目をつけた容疑者は2人。
もちろん、愛名との関係が険悪なものとなっていたElsa Edward、土井美穂だ。
2人とも愛名との間に確執をかかえており、アリバイはない。
しかし、決定打がなかった。
…そんな折、殺害現場にダイイングメッセージが隠されていた。
鑑識は単なる血痕だと考えたみたいだけど、これはダイイングメッセージだ。
読者への挑戦
さあ、今回はこのダイイングメッセージを解読し、この事件の犯人を当ててほしい。
犯人は、Elsa Edwardか土井美穂のどちらかで間違いないよ。
答えを明かすのは一週間後…。
…一週間の間、知恵を絞って答えを考えてほしい。
答えを明かすのは一週間後…正しさが示されるのは一週間後の夜だよ…。