第八夜-サトリが見抜く夜【夜探偵フクロウと謎解き暗夜】
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第一章・妖怪サトリ
「サトリ」という妖怪を知っているかい?漢字では「覚」と書く。
江戸時代の妖怪画集「今昔画図続百鬼」に出てくる妖怪で、人の心を見抜くと言われている。
山中を行く人の前に「サトリ」が現れ、その人の心を見抜く。
怖いと思えば「お前は怖いと思ったな?」
引き返そうと思えば「引き返そうとしているな?」
モノを投げて意表を突こうと思えば「モノを投げて意表を突こうとしているな?」
そこまで心を読まれた人間は、呆然と立ち尽くすしかない。
でもそんな時、偶然松明の火の粉が跳ねて「サトリ」にぶつかると、驚いて逃げてしまう。
あらゆるモノを見通す「サトリ」は、偶然に弱いというわけさ。
第二章・僧侶サトリ
もちろん「サトリ」なんてのは架空の存在さ。
けど、実はある寺に、「サトリ」と呼ばれる存在がいた。一人の僧侶さ。
その僧侶はもちろん人間だけど、「サトリ」と呼ばれていた。
悟りを開いたとされるほど優れていた…ということもあるけど、どうも、人の心を見抜く力を持っていたらしい。
僧侶だから、檀家さんの相談に乗ることもあったらしいんだけどね。
檀家さんが口を開くまでもなく次々悩みを的中し、おまけに解決法まで授けたという。
だから皆、ある種の恐怖も含めて、彼を「サトリ」と呼んでいたんだ。
第三章・往生
ある日、そんな「サトリ」が、失踪した。
あまりに突然のことに僧侶たちは驚き、「サトリ」の行方を捜したが、一向に見つからない。
ただ、「サトリ」は一枚の書置きを残していた。
その書置きによると、「サトリ」の持っていた仕掛け箱の中に、真理を残したのだという。
この書置きに、僧侶たちはざわめいた。
まだ世俗が抜けきっていないある僧侶は、「通帳かお金を残していったのかも?」と大興奮。
またある生真面目な僧侶は、「悟りに至る方法を書いた経典が入っているのでは?」と冷静に説いた。
しかし大部分の僧侶は、きっとあの、妖怪サトリのように人の心を見抜く方法を残していったのだろうと考えたようだ。
ただ、例外なくすべての僧侶が、仕掛け箱を開くことができなかったんだ。
読者への挑戦
さあ、今回はこの仕掛け箱を開いてほしい。
仕掛け箱の仕組みはシンプルだ。
「■・■・■・■・■・■・■・■・■・■」という10個の■に文字を埋めるだけ。
そして■に入る文字は、「縦」「横」「斜」「丸」「無」の5種類。
おっと…そしてもうひとつ。実はサトリの書置きには、こうも書かれていたんだ。
「この世に宙(ちゅう)が生み出された順序が扉を開く」
…これ自体が、悟に至るための仏教の教えのようだね。
さて…、どの言葉をどう組み合わせれば仕掛け箱が開くのだろう?
答えを明かすのは一週間後…。
…一週間の間、知恵を絞って答えを考えてほしい。
答えを明かすのは一週間後…正しさが示されるのは一週間後の夜だよ…。