怒涛の勢いで繰り返す生と死!そして暴力の光と闇が作品の深みへと誘う「Hotline Miami」 | Wuah!-[ワー!]-ホラーゲームメディア


怒涛の勢いで繰り返す生と死!そして暴力の光と闇が作品の深みへと誘う「Hotline Miami」

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たとえば「お正月」とか「ハッピーバースデートゥーユー」とかって曲を聴いて、ホラーっぽいと思う人は少ないだろう。

でも、「お正月」とか「ハッピーバースデートゥーユー」を、残酷な殺人シーンのBGMとして流したらどうだろう。

そりゃあ残酷なシーンで流したらホラーっぽく聴こえるだろって?

いやいやそうじゃない

ホラーとは全く無縁の…いや、むしろ真逆といってもいい曲を流すことで、残酷なシーンはさらに残酷になるのだ。

いわばこれは、スイカやお汁粉にちょいとばかし塩を添えると甘味が増すのと同じこと!

そしてそんな、スイカ・お汁粉に塩理論によってさらに恐怖感を増しているゲームこそ「Hotline Miami」だ。

目次

ココがWuah!「Hotline Miami」の魅力は暴力の光と闇が描かれているところ

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「Hotline Miami」は、殺し屋としてマフィアどもを倒す…いや殺しまくる…いやいや、せん滅する見下ろし型アクションゲームだ。

繰り返し言葉を変えて説明したが、本作において「敵を倒す」なんて言葉は甘っちょろい。

素手で、バットで、鉄パイプで殴り、倒れた相手の首を掴んで地面に叩きつけて潰す。

あるいは、ショットガンで吹き飛ばす、ライフルで打ち抜く、ナイフで刺し殺す。

本作で描かれる暴力は容赦がない

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しかしその一方、本作のビジュアルはファミコン時代のゲームのようにドット絵

なので、容赦のない暴力もそこまで生々しくはない

血しぶきが飛び、臓物が飛び散るものの、そこまで生々しくないのだ。

…いやごめん、ある意味ウソ

なぜならそう、スイカ・お汁粉に塩理論

ドット絵だからこそむしろ想像がかき立てられ、暴力性が強く感じられるのだ。

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しかし本作、必ずしも暴力を肯定的に描いているわけではない

主人公=プレイヤーは冒頭で聴かれる。

暴力は──他人を痛めつけることは好きか?と。

さらに主人公はストーリー中、暴力によって蹂躙されボロボロになった娼婦と、この上なく純粋な恋に落ちる。

この恋は、言葉によるメッセージではなく、ドット絵で描かれた2人のキャラクターの距離感によって描かれる。

プレイしていて、主人公の暮らしに安らぎのようなものが訪れるのが分かる。

主人公が彼女に振るわれた、理不尽な暴力を許していないのが分かる。

だがその一方で、主人公は殺し続ける

だからこそプレイしていて考えるのだ。暴力の持つ光と、闇を。自分がプレイしている意味を。

暴力だからこそ解決できるものもあり、暴力によって失われる大切なものもあるのだ。

「ドライヴ」「ロスト・ハイウェイ」に通ずる作品性を持った作品

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本作にはベースとなった映画作品がある。

「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングが出演していた映画「ドライヴ」だ。

「ドライヴ」もまた、殺し屋の物語であり、ある女性との恋によって殺し屋が安らぎを味わう。

そして、暴力の光と闇が描かれる。

暴力だからこそ解決できるものもあり、暴力によって失われる大切なものもある。

こうしたストーリー展開だけでなく、本作はビジュアルも極めて「ドライヴ」から影響を受けている。

ドライヴの車での移動シーンと、本作の車での移動シーン(スクリーンショット)を見ると、ダイレクトにそれが理解できるハズだ。

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また、筆者が本作とフィーリングが近いと感じた映画作品が、デヴィッド・リンチ監督の「ロスト・ハイウェイ」

「ロスト・ハイウェイ」は、いきなり自宅に、自宅の様子を映されたビデオテープが送られてくるというところから始まり、殺人容疑で捕まった主人公が牢獄で別人に変化してしまう…という、一度観ただけでは理解の難しい作品だ。

そして本作も、主人公がマスクをかぶった3人の人物に詰問されているシーンをはじめ、様々な時系列が入り乱れることによって一度プレイしただけでは全体像を把握しづらい作りになっている。

先行きはもちろん、今何が起きているかも理解しづらい。

そして、だからこそ不安で、恐怖を感じる。

何を信じていいのかわからない…、ゲームの中であっても現実を現実と捉えてはいけないような不安感に常に襲われるのだ。

繰り返す生と死の嵐!

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ゲームシステムに目を向けると本作は、全方位シューターのゲームシステムに似ている。

主人公を全方位へ自由に動かすと同時に、360°ぐるぐると方向を切り替え、敵のいる方向へと攻撃を仕掛ける。

ただし、一般的な全方位シューターと異なり、本作は敵も味方もほぼ一撃で死ぬ

だからちょっと気を抜くと速攻でゲームオーバーになる。いわゆる死にゲーというやつだ。

だが、ゲームオーバーからの復活も速攻。直前のチェックポイントにすぐ復活できる。

だから、怒涛の勢いで生を死を繰り返すことになる。

ゲームをプレイしている心地よいトランス感があると共に、生と死、暴力といった哲学的なところにも思いを馳せてしまう。

ゲーム的におもしろいとともに、テーマを深く考えることも楽しい傑作アクション。

プレイしていないなら、一度はプレイすることをオススメするぜ。

基本情報

タイトル

Hotline Miami

デベロッパー

Dennaton Games

配信会社

Devolver Digital

対応ハード

PC

価格

980円

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執筆者プロフィール

田中一広

ホラーに特化してゲームを作るインディゲームクリエイター。妖怪博士。

インディゲームデベロッパー株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

ホラーゲームをこよなく愛する妖怪博士であり、元バーテンダー、専門学校講師といった異色の経歴を持つ。

ゲーム制作以外にも、ゲームメディアでライターとして定期的に執筆。

ホラーゲームメディアWuah!、ホラーゲームサイトWuah!Games運営中。

Twitterアカウント

@Kazhiro

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【Hotline Miami】 【アクション】

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