子どものころの夜の闇が持っていた怖さを思い出させてくれる貴重なホラーアドベンチャー「夜廻」

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田舎のキャンプ場の夜は、真っ暗だ。すぐそこにコンビニも街灯もない。だから、真っ暗

そういや、オレがガキのころはコンビニなんてなかったから、田舎じゃなくとも夜には真っ暗な風景があった。

12月/31日には近所の神社で除夜の鐘を付くことができ、甘酒も振る舞ってくれたのだが、その帰りにお墓の側を通る時、マジで怖くて怖くて仕方がなかった。

「幽霊が出るかも」なんて言う友達の冗談に笑ってはみせるものの、心の中ではブルっている。冗談を言った方も。

そんな子どもの頃の怖さを思い出させてくれるゲームが、「夜廻」だ。

ココがWuah!「夜廻」の怖さは、夜の街をさまよう子どもの頃の怖さ

「夜廻」は、犬を探しに出かけた姉を求めて、妹が夜の街をさまようというアドベンチャーゲーム。

絵本のような優しいタッチで描かれてはいるが、怖さはガチ。

夜の街で妹を待ち受けているのは、お化けたち。

幽霊やゾンビ/、殺人鬼やクリーチャーではなく、お化け

まさにお化けとしか言いようのない、オリジナリティの高いビジュアルがイイ。

主人公に許された対抗手段は、お化けの位置を心臓の鼓動音で感知し、ダッシュで避けること。

極限まで接近しないとお化けの姿が見えないため、心臓の鼓動音でお化けの居場所を推測し、いないであろうルートをダッシュで通るわけだ。

お化けに囲まれた場合は、草むらなどの退避場所に逃げ込むこともできる。

草むらは安全地帯になっているものの、お化けの場所を見ることができなくなってしまう。

このため草むらから出る際には、赤い「もや」と鼓動音でお化けがいなくなったかな…?と当たりをつけなければならない。

この、完全にはお化けを見ることができないものの、かすかに見えるというシステムと、絵本的なビジュアルがあいまって、本作がコンセプトとしている「子どものころ、夜の街を見てお化けがいるかもしれないと感じた、あの怖さ」が十分すぎるほど表現されている。

コンビニならずとも、ビルの明かりや街灯によって24時間どこにでも明かりのある現代で、こうした恐怖を味わわせてくれるのは貴重といえるだろう。

コンビニが24時間営業を止めたなら、このゲームのような怖さが再び夜に戻るんだろうか…?

基本情報

タイトル

夜廻

デベロッパー

Nippon Ichi Software, Inc.

配信会社

Nippon Ichi Software, Inc.
(PC版はNIS America, Inc.)

対応ハード

PC/Switch

価格

PC

1,980円 税

Switch(続編「深夜廻」とのバンドル)

7,538円

【夜廻】【アドベンチャー】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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