そんなわけがない【ぞくっ、とする怖い話】

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実話怪談を収集していると、中にはやや短めの逸話も存在する。

今回はそんな短めの逸話からひとつ紹介したい。

Rさんがまだ小学校のころ。

日が暮れるまで遊んだ帰り、ふと、雑木林に立ち寄った。

すると、雑木林の奥の方にある草むらに、人影を見つけた。

髪の長い女人で、真っ赤な服を着ている。

前かがみになっているところを見ると、何か探し物をしているようだ。

しかし、その探し方は少し奇妙だった。

草むらに落ちているものを探すのなら、腕で草をかき分ければ探しやすい。

しかし、一切草むらをかき分けようとしない。

ただただ、前かがみになって草むらをうろうろと探している。

Rさんはその姿をじっと見ていた。

すると、表情が異様なことに気づいた。

青白い顔の中に、真っ赤に血走った目。

息使いも荒く、どう考えても普通ではない。

怖くなったRさんは、その表情を見た後、すぐさま家へ帰ったという。

ただ……Rさんが最近ふとそのことを思い出すらしい。

あの女性は、自分の腕がなかったのではないかと。

しかも、ただ腕がなかったのではなく、そのせいで服が血に染まっていたのではないか。

だとすると……探していたのは、自分の腕なのではないか。

そんなことを考えては、そんなわけがないと自分でその考えを否定しているらしい……。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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