ポスター【ぞくっ、とする怖い話】

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Hさんが引っ越しをして、一週間たったころ。そのころちょうど、家具の位置をすべて確定し終わったくらいだった。

その日は金曜日だったのを覚えている。職場での飲み会があったからだ。終電で帰ったため、家に着いたころには1時を過ぎていた。

家に着いたHさんは、上着を脱いですぐベッドに倒れ込んだ。

酔っぱらっていたので、向きを気にせず…枕側を足にして寝転がった。アルコールで景色がふわふわと見える。

そんな中、目に入ったのは、1枚のポスターだった。

ベッドの足元側には冷蔵庫を置いていたのだが、その冷蔵庫の裏側にあたる壁に、ポスターが貼られている。男性の顔写真が写ったポスターだ。

その男性が誰の顔なのか、思い出せない。いやHさんにはそもそも、そこにポスターを貼った記憶がなかった。ただ、それは酔っぱらっているせいかもしれない…。あるいは、前の住人が貼り忘れていったものかも…。

そう思ったHさんは、酔いも手伝ってそのまま眠りに落ちた。

翌朝…。

Hさんが目覚めると、うっすらと頭の痛みを感じた。少し昨日の酒が残っているようだ。

冷蔵庫からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出し、そのまま口をつけて飲む。その時、Hさんは違和感を覚えた。

目覚めた時、冷蔵庫の裏にポスターを見かけなかった。

Hさんはペットボトルを冷蔵庫の中に戻すと、すぐさま冷蔵庫の裏を確認した。

やはり、ポスターはなかった。

昨晩見かけたのは、アルコールが見せた幻覚なのか、それとも心霊現象なのか……今でもわからないそうだ。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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