川【ぞくっ、とする怖い話】

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Kさんは霊感が強いのか、心霊現象に遭遇することが多いらしい。そんなKさんが休日に遊びに出かけた、帰宅中のできごと…。

一日たっぷりと遊んだため、帰宅時にはすでにあたりが暗くなっていた。

Kさんの家の周囲は街灯が少ないため、深夜かと思えるほどの暗さだったという。

とはいえ、幼いころから歩き慣れている道。暗さに構わず、Kさんは足早に歩いていく…。スタスタと歩いていたKさんだが、やがて歩くテンポを落とした。

そこには、川があった。その川には柵がない。さほど大きな川ではないものの、人が溺れるには十分な深さと幅を持っている。危険なことは明らかなのだが、何故か長いこと柵が設けられていないのだ。

Kさんがゆっくりとしたスピードで歩いていると、川を渡る橋が見えた。帰宅するためには、その橋を渡る必要がある。

しかし…Kさんは橋を渡らなかった。

橋の周りだけに真っ白な霧がかかり、その霧の向こうに人影が見えていた。人影は、手まねきをしているように見える。

Kさんはその場で、じっと人影を見つめ続けた。すると、人影が薄くなるとともに霧が徐々に晴れて行った。

霧が晴れた時、そこに橋はなかった。本当の橋は、人影が手まねきしていた場所から数メートルほど離れたところにあったそうだ。

もし手まねきに応じて橋を渡っていたら…川に落ちていたところだったという。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

この記事が含まれるコーナー

ぞくっ、とする怖い話

それは、誰かが体験した物語。
背中がぞくっとする、本当にあった怖い話…。

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